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【コラム】海外通信員

サッカーは情熱 アルゼンチン前期リーグが開幕

[ 2013年8月16日 06:00 ]

リーグ戦2試合目ニューウェルズ・オールドボーイズ戦(8月13日)に敗れて、ピッチを後にするボカ・ジュニアーズのビアンチ監督と選手たち
Photo By AP

 2013年アルゼンチン前期リーグが開幕した。世界でも最も熱狂的なサッカーファンを持ち「サッカーは情熱!」と言ってはばからないアルゼンチン。南米では「サッカーは文化と言われるが、「文化」と「情熱」の2つを兼ね揃えた国はアルゼンチンだけで、特別な国だ。

 その「情熱」が時折、エスカレートすることがある。7月21日のリーグ戦開幕直前の冬季親善試合、ボカ・ジュニアーズ-サンロレンソ戦前にスタジアム近くでボカファン同士の争いが起こり、2人が死亡した。そのため、アルゼンチンサッカー協会(AFA)は全クラブに対し、開幕2試合はホームチームのファンで、しかもクラブ会員だけ入場を許可する措置を取った。つまり、アウェーチームのファンは一切入場できないという厳しいものだ。

 「一部のファンが問題を起こしたからといって全チームにペナルティーが課せされるのはおかしい」と言う意見もある。入場料収入にも影響する。しかしもう一度みんなで「命とは何か」について考えろというAFAの方針で、これは私も賛成だ。「情熱」は素晴らしいが、向かう方向が違うと悲劇を招くということだった。

 異様な雰囲気の中で開幕したリーグ戦は、古豪ロサリオ・セントラル、ヒムナシア・デ・ラプラタ、オリンポの3チームが1部に昇格し、すでに2節を消化した。この4年間、南米のクラブチームNo.1を決めるリベルタドーレス杯ではブラジルのチームが優勝している。アルゼンチンが奪回するためにもリーグ戦のレベルアップは不可欠になる。

 昨季不振にあえいだビアンチ監督率いるボカは主力選手を入れ替え、心機一転初戦を白星で飾った。ライバルのディアス監督率いるリーベルは1勝1敗。若手を積極的に起用し、ユース育ちのFWジョバー二・シメオネ(18歳、U―18、U―20アルゼンチン代表)をスタメンに抜てきした。

 元アルゼンチン代表MFで現在アトレチコ・マドリード監督のディエゴ・シメオネの息子で、まだゴールはないが、将来のエースストライカーとして期待されている逸材だ。世界一の「情熱」を持ったファンの声援を背に、南米No.1、世界一の座奪回を目指してもらいたい。(大野賢司=ブエノスアイレス通信員)

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