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【コラム】海外通信員

やはりリケルメはボカに復帰した!!

[ 2013年3月9日 06:00 ]

7日リベルタドーレス杯ナショナル(ウルグアイ)戦に出場したボカ・ジュニアーズのリケルメ
Photo By AP

 アルゼンチンリーグ前期は第4節が終了した。1位ラヌース、2位リーベル、3位ゴドイクルス、4位アルセナル、5位キルメスと、数年前には当たり前だった上位=ビックチーム(ボカ、リーベル、インデペンディエンテ、ラシン、サンロレンソ、べレス)という方程式は成り立たなくなっている。唯一、ラモン・ディアス率いるリーベルだけが上位にいるが、小クラブの活躍は今後のアルゼンチンサッカー界にとっては大きなメリットになるだろう。

 昨季はリーベルが2部降格、今年はサンロレンソ、インデペンディエンテが2部降格の危機にさらされているが、経営が安定していないクラブはやはり試合結果も安定しない。逆に、小クラブのラヌースは、ボカで活躍した双子のバロススケロットが監督、チリ国境沿いのメンドーサ市のチームゴドイ・クルスは、元ボカのストライカー・パレルモが監督と、ビアンチの教え子が指導者として活躍している。教え子との対戦も楽しみだ。

 今季は、リーベルのラモン・ディアス、ボカのビアンチと、名監督同士の戦いも注目だが、ここまでボカは1勝1分け2敗で15位と、まだチーム作りに苦労しており、ラモン・ディアスに軍配が上がっている状態だ。

 しかし、そんなボカに救世主としてリケルメが帰ってきた。

 昨年7月4日のリベルタドーレス杯決勝、対コリンチャンス戦に負けた後ボカを去り、「もう2度とボカではプレーはしない」と断言。昨年12月にビアンチが監督復帰した時も復帰説が流れたが戻ってこなかった。だが、2月2日の夏の大会で対リーベル第3戦に1-2で負けたことが彼を奮い立たせた。ボカのレベルの低さに激怒したリケルメは試合後、自らビアンチに電話しボカでプレーしたいことを告げた。賛否両論はあるものの、やはりリケルメ自身がボカファンで、ボカを思う気持ちは誰よりも強い。ボカを救いたいという一心での決意だった。

 そして2月8日にボカに復帰。約7カ月間、全く体を動かしていなかったがすぐに練習を開始し、3月3日に超満員のボカのスタジアムで復帰を果たした。しかし結果は、今季26試合勝ち星なしで2部落ちの危機に直面しているウニオン・デ・サンタフェに1-3でまさかの完敗。復帰戦を白星で飾ることができなかった。

 実際、35歳のリケルメが加わることによって、彼を起点にするゲーム展開は善し悪しがある。経験を生かした落ち着いたプレーができる反面、スピードがないルーズな試合運びとなる。ボカを思う気持ちの強さは良くわかるが…。気持ちだけでなく、実際に若手に勝る体力、スピード、判断力でチームを引っ張っていくことができるかが今後のボカの成績を左右する。チーム作りにはまだまだ時間がかかりそうで、ビアンチとリケルメの今後の動きが注目だ。(大野賢司=ブエノスアイレス通信員)

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