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【コラム】海外通信員

MLS ベッカムと日本人選手事情

[ 2012年3月25日 06:00 ]

LAギャラクシーの(左から)FWロビー・キーン、MFベッカム、MFドノバン
Photo By AP

 アメリカのプロ1部リーグ、メジャーリーグ・サッカー(MLS)は3月10日にレギュラーシーズンが開幕した。シーズンは10月まで続くが、その後独特のプレーオフが行われるのはこれまでにも紹介したとおりだ。

 今シーズンもニューヨーク・レッドブルズのFWティエリ・アンリやMFラファ・マルケス、ロサンゼルス・ギャラクシーのFWロビー・キーンなどスター選手がMLSでプレーする。

 その中でいろいろな意味で注目されているのはギャラクシーに残留したMFデビッド・ベッカムだろう。パリ・サンジェルマンに移籍するのは決定的と見られていただけに1月19日にギャラクシーと2年契約を結んだことは驚きで迎えられた。家族の意向によるものと説明されているが、たしかに一般層でのサッカー選手の認知度の低さに起因する生活のしやすさを強調する外国人スター選手が多いのは事実だ。

 ただベッカムのアメリカでの認知度は確実に高まっている。そのことが現れていたのが2月5日に開催されたアメリカンフットボールNFLの優勝決定戦スーパーボウルのテレビ中継でのCM出演だった。毎年40%前後の視聴率をあげる同中継のCMは豪華な出演者や高額な制作費をかけた作品が流されることで世界的に知られている。

 その1つファッション・ブランドH&Mが放送したCMでベッカムが主演したのである。内容は同ブランドのメンズ・アンダーウェアを身につけたベッカムがポーズをとるというもの。日本でもこの広告は展開されているので、見られた方も多いのではないだろうか。なかなか刺激的なこのCMが放送できたのはベッカムがそれなりに知られた存在となっている証拠といえるだろう。ただ刺激的すぎたのか必ずしもその評価は高くはなかったのだが。

 実はベッカムがスーパーボウルCMに出演したのはこれが2度目で、最初の作品はアメリカではまだ知られていないスター選手、という点を強調した内容だった。ヨーロッパと同様にプライバシー問題に悩む日が来ることはまだないだろうが、人気は確実に得ているといえる。

 そんなMLSに今シーズン、日本人選手が2人加わった。アメリカ・ウェスタンイリノイ大学出身の木村光佑が2007年からコロラド・ラピッズに所属し、2010年には優勝決定戦MLSカップで勝利に貢献している。ただJリーグ者ではない。

 そんなMLSに前サガン鳥栖のDF田中輝和がレアル・ソルトレイクに、前ザスパ草津のMF山田晃平がコロラド・ラピッズに入団したのだ。

 田中は昨年限りでサガンを退団した後、日本で行われたトライアウトでスカウトされた。一方山田は今年1月MLSが開催したトライアウトの一種、コンバインに参加したことで目にとめられ、その後開催されたサプリメンタル(補助)・ドラフトで3巡14位指名を受けてのMLS入りとなった。

 ともに入団後も続くサバイバル競争に生き残り、見事開幕ロスター入りを果たしている。ラピッズは2人の日本人選手を抱えることとなった。

 これを機にMLSで活躍する日本人選手が増えることを期待したい。(渡辺史敏=ニューヨーク通信員)

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