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【コラム】海外通信員

名門リーベルがトレゼゲ獲得 アルゼンチン情報

[ 2012年1月15日 06:00 ]

 アルゼンチン代表のバルセロナのメッシが3年連続でバロンデオーロを受賞する快挙でスタートした2012年したアルゼンチンサッカー。現在、アルゼンチン1部リーグは休み、2部は中休みで、各チームとも夏のキャンプに入っている。ボカ、インデペンディエンテ、ラシン、サンロレンソ、べレス、リーベル(2部)のビックチームは、ブエノスアイレスから離れ、恒例のタンジル(ブエノスアイレスから約300キロ)かマルデルプラタ(ブエノスアイレスから約400キロ、今年のダカールラリースタート地点)で、練習している。

 なんといっても注目は、ボカとリーベル。リーべルは現在2部だが、誰もが認めるビッククラブだ。そのリーベルの今年最大の話題は、アルゼンチンからフランスに帰化した元フランス代表で元ユベントスのダビッド・トレゼゲ(34)を獲得したことだ。リーベルのパサレラ会長は、ヨーロッパでも付けていた愛着のある背番号17番を用意。彼の経験でチームを引張っていってもらい、1部昇格を確実にするために大きな期待をかけている。

 トレゼゲは「私のサッカー人生、ヨーロッパでのプレーの後、最も重要な目標を与えられた」と、話す。94年までアルゼンチンのプラテンセでプレー、95年からヨーロッパでプレーしていたが、「最高の形で現役生活を終えることができるだろう。私はリーベルのファンでもあり、チャレンジが好きだ。ここでプレーできるという話があった時、迷わず決断した。簡単ではないが、チームは良くまとまっているので、今がまさに1つになってプレーする時だ」と、胸をときめかせる。既にチームメートともなじみ始め「皆が1部昇格という1つの目標に向かってすごくいい感じ。アルゼンチンの皆さんに私のサッカーをみせたい気持ちでいっぱいだ。体調も非常にいい。フィジカルトレーナーが要求するものすべてをこなしているし、激しい練習は慣れていて全く問題ない」と、開幕が待ち遠しそう。そして、「シーズン前にこのレベルで練習するのは重要だ。準備期間は十分あるので100%の体調を作り上げる」と、自信を見せる。ユベントス時代にセリエB(2部リーグ)を経験してることもプラスだ。

 今夏の1部チームの交流戦は、2部のリーベルが参加するかどうかが注目されたが、結局参加することになった。南米スーパークラシックと言われるボカ、リーベルの2試合も行われる。しかしこの時期、ブエノスアイレスからの観光客でにぎわう避暑地マルデルプラタでの試合は、これまで以上にファンの加熱が懸念されるために場所を変えてアルゼンチン北部のパラグアイ国境に近く、ブエノスアイレスよりは静かなチャコ州で行われることに。アンデスの麓のメンドーサでの試合は例年通り行われる。1部対2部という歴史的な対戦になる。

 リーベルは1901年に設立され、今年で111年目を迎える。ファンはそれを記念して世界最長の旗を作ることを企画をしている。その長さは6200メートル。というのは本拠地がボカ地区からブエノスアイレス市内北部に移り、移動後1923年5月20日最初にスタジアムが作られた地から、現在のスタジアムまでの道のりが6200メートル、その距離を旗でつなごうというものだ。過去、スペインのアトレチコ・マドリードが作った旗の3500メートルが最長だったが、2009年にアルゼンチンのロサリオ・セントラルがチーム120周年で4350メートルの旗を作り、記録を更新している。リーベルはその記録を塗り塗り替えてええて世界一になろうというわけだ。今年にかけるリーベルファンの熱い気持ちがこんなところにも表れている。(大野 賢司=ブエノスアイレス特派員)

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