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【コラム】海外通信員

プレーオフと今後のリーグ拡大へ関心高まるMLS

[ 2011年10月30日 06:00 ]

競り合うLAギャラクシーのMFベッカム(左)とNYレッゾブルのFWアンリ
Photo By AP

 アメリカのプロ1部リーグ、メジャーリーグ・サッカー(MLS)のレギュラーシーズンがJリーグよりも一足早く23日で終了した。といってもこれで終わりではない。

 MLSはアメリカらしく、MLBやNFL、NBAなどと同様にプレーオフ・システムが採用されているからだ。そのシステムは少し複雑で、まずMLS18チームは9チームずつ東と西のカンファレンスに分けられている。そのカンファレンス内の順位でまず上位3チームずつがプレーオフ進出となる。さらに残った12チームの中で上位4チームがワイルドカードとしてプレーオフに出場できる。

 そしてまずワイルドカードの1位と4位、2位と3位が1ゲーム戦い、その勝者がカンファレンス準決勝に進出となる。準決勝はホーム&アウェイ方式で行われ、カンファレンス決勝は再び1ゲーム制となるのだ。こうして決まった両カンファレンスの勝者がいよいよ11月20日に開催されるシーズン王者決定戦、2011年MLSカップで対戦する。このような仕組みはやはりMLSならではといったところだろう。うまくいけば10位からでもチャンピオンになれるのである。

 そのプレーオフ出場チームだが、東カンファレンスの1位がスポルティングKC、2位ヒューストン・ダイナモ、3位フィラデルフィア・ユニオン。西が1位LAギャラクシー、2位シアトル・サウンダース、3位レアル・ソルトレイクなどとなっている。

 この中で特に注目なのがLAギャラクシーだ。今シーズン19勝10分け5敗は全チーム中トップの成績だ。そしてなんといっても元イングランド代表MFデイビッド・ベッカムが所属している点が話題性の面でも大きい。2007年に世界的にも話題になったベッカムのギャラクシー入団だったが、その5年契約が今シーズンいっぱいで切れる。11月の契約終了後はパリSGへの移籍が濃厚と見られているものの、ギャラクシーも契約延長をオファーし、さらにトットナム、レスターなども興味を示しているとされる。MLSカップの会場カリフォルニア州ホームデポ・センターはギャラクシーのホーム・スタジアム。ベッカム、さらにギャラクシーとしては本拠地で王者となってこのシーズンを締めくくれれば最高の形といえるだろう。

 さて、シーズンがクライマックスを迎えるなかでアメリカのサッカー関係者がもう一つ注目している話題がある。2013年にも予想されている20番目の新加入チームとニューヨーク・コスモスについてだ。20番目のチームはレッドブルに次いでニューヨーク2つめのチームになるのではないか、そしてそれはかつてペレやベッケンバウアーが所属したコスモスが復活したものになるのではないかと囁かれてきた。

 が、ここへ来て雲行きがあやしくなっている。コスモスはユース育成とかつてのチーム・ロゴを使ったグッズ販売などを行ってはいるもののいまだチームとしての組織になっておらず、資金、運営面に不明な点が多い。さらにコスモス以外にもニューヨークでのMLSチーム起ち上げに興味を示しているグループはあるが、いずれも加入に必須となるスタジアム計画が明確になっていないのだ。

 このためドン・ガーバーMLSコミッショナーは今月11日に、依然ニューヨークでの新チーム加入に関してはこれらの課題が存在し、特にコスモスには現状難しいだろうと語った。まだまだ紆余曲折はありそうだ。

 今シーズンのプレーオフと今後のリーグ拡大、その両方の行方に関心が高まる秋となっている。(渡辺史敏=ニューヨーク通信員)

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