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【コラム】海外通信員

ケルンの“リーダー”

[ 2011年3月4日 06:00 ]

 2011年に入ってからブンデスリーガで最も注目を集めているのは、ポドルスキーだ。前半戦(2010年)は16試合に出場してわずか4ゴール。それが2011年、後半戦になってからは7試合で6ゴールを決めているのだ。ドイツメディアもここぞとばかりにポドルスキーの特集を組んでいる。

 ポドルスキーは1FCケルンの下部組織出身の選手で、ファンからの人気も高い。06~07シーズンから3シーズンにわたりバイエルンでプレーしたが、昨シーズンからケルンに戻ってきた。ケルンはバイエルンのように潤沢な資金を持たない。そのため、ポドルスキーの獲得に先だってケルンは公式HP上で、ポドルスキーの写真を販売。その利益をポドルスキー獲得にあてたほど。熱心なケルンファンで知られるF1レーサーのミヒャエル・シューマッハーも10万円ほどポドルスキーの写真を購入したと言われている。

 そんな期待を一身に背負って昨季からケルンに復帰したポドルスキーだが、思うような結果は残せなかった。昨季はわずか2ゴールしか挙げていない。3シーズン過ごしたバイエルンでも思うような活躍を見せられなかったため、ポドルスキーのホームチームはドイツ代表なのではないかと批判を受けた。例えば、彼は2009年にはドイツ代表の選手で最も多くのゴールをたたき出している。

 今年に入ってからポドルスキーが活躍を見せているのは、ケルンの監督を務めるシェーファーの存在が大きい。ケルンの下部組織の監督を歴任していたシェーファーは、昨年10月に前監督ソルドの解任にともなって、トップチームの監督に就任した。ポドルスキーは2003年に彼の指導を受けている。

 昨季まではポドルスキーはFKだけではなくCKも蹴るなど、チャンスメイクに忙殺されることが多かった。しかし、シェーファーは就任直後にはポドルスキーに1トップを任せ、FWノバコビッチが復調すると、ポドルスキーのポジションをトップ下に固定。これまでは2人を同時に起用すると守備に穴が空くこともあったが、2人には運動量を求めた。これにより、守備の不安も減り、大きく増えた運動量は攻撃でも生きるようになった。

 そして、もう一つ見逃せないのが今年はじめの出来事。ポドルスキーをキャプテンに指名したのだ。責任ある立場にたったポドルスキーの、2011年の活躍は目覚ましい。

 一昨季までケルンの監督を務めていたダウム氏はキャプテン変更の意義を強調する。
「ポドルスキーは責任感のある選手だし、そうした立場に置かれることを望んでいたんだ。だからこそ、素晴らしい活躍を見せているのだ」

 シェーファー自身は、こんなふうに考えている。

 「ポドルスキーは雰囲気に左右されるタイプだからね。彼の情熱を正しい方向に向けようと考えたんだ」

 ポドルスキーは良くも悪くもムラのある選手だ。だからこそ、ファンからも愛されている。

 「最近のケルンの街の盛り上がりは物すごいよね。ボクは1FCケルンのキャプテンであることに誇りを感じてるんだ!」

 ケルンのアイドルからケルンのリーダーへ。新たな役割を与えられたポドルスキーの勢いは止まりそうにない。(三村祐輔=フランクフルト通信員)

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