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【コラム】海外通信員

第1回FIFAバロンドール賞はバルサが独占!

[ 2011年1月1日 06:00 ]

 12月6日にパリから素晴らしいニュースが飛び込んできた。国際サッカー連盟(FIFA)が2010年度の年間最優秀選手の最終候補3人を発表したが、バルサからスペイン代表MFシャビ・エルナンデス(30歳)とアンドレス・イニエスタ(26歳)、そしてアルゼンチン代表のFWリオネル・メッシ(23歳)が選ばれたのだ。

 今年度からこれまでのFIFA年間最優秀選手賞と、フランス・フットボール誌が選ぶバロンドール(欧州最優秀選手)賞の2大タイトルが統合されて第1回FIFAバロンドール(世界最優秀選手)賞となり、その価値がさらに高まることになる。その最初の年にバルサから最終候補の3選手が選ばれたのは歴史的な快挙といえる。

 何しろ、過去に同一クラブから3選手がバロンドール賞候補を独占したのは、ACミランの1988年度(ファン・バステン、フリット、ライカールト)、1989年度(ファン・バステン、バレージ、ライカールト)に続いてバルサが2クラブ目となり、同一クラブの生え抜き3選手が独占するケースはバルサが初めてとなる。

 この朗報にバルサのグアルディオラ監督は、『FIFAバロンドール賞の最終候補に選ばれた3人だけでなく、これはバルサにとって歴史的な名誉であり、チーム全員の喜びだ。1月10日のチューリッヒでの表彰式にできるものならチーム全員で出席したい」と興奮を隠しきれない様子だった。

 実は、グアルディオラ監督自身も、新たに設けられたFIFA最優秀監督賞の男子部門の最終候補3人に、スペイン代表のデル・ボスケ監督、レアル・マドリー(元インテル)のモウリーニョ監督とともに選ばれており、何れの賞もバルサ絡みとなる。

 ちなみにFIFAバロンドール(世界最優秀選手)賞の最終候補3選手が絞られる前の段階の10月26日に発表された23人の候補者の中には、バルサから一クラブ最多の6人(シャビ、イニエスタ、メッシ、プジョル、ビジャ、ダニエウ・アウベス)の名前が挙がっていた。さらにスペイン代表ではカシジャス、シャビ・アロンソ(ともにレアル・マドリー)、セスク(アーセナル)が入り、国別代表最多の7人が選ばれた。そして、スペインリーグからディエゴ・フォルラン(アトレティコ・デ・マドリー)、クリスティアーノ・ロナウド、エジル(ともにレアル・マドリー)を含めた合計11人が選ばれ、欧州リーグ最多の候補者を出していた。

 グアルディオラ監督が率いるバルサは、昨季の欧州チャンピオンズリーグの準決勝でモウリーニョ監督が率いるインテルに敗れてCL初の2連覇のチャンスを逃したものの、2009年度に史上初の6冠獲得の偉業を果たした勢いでスペインリーグ2連覇を果たし、今季も素晴らしいパフォーマンスで宿敵レアル・マドリーに17季振りにホームで5-0と大勝してリーグ首位に立ち、チャンピオンズリーグでもベスト16進出を順調に決めている。そのバルサの攻撃の中心となっているのが、シャビ、イニエスタ、メッシの3人だ。また、この3人は各代表で6~7月にかけて行われたW杯南アフリカ大会で活躍したが、特にシャビとイニエスタはスペイン代表の中心選手として悲願の初優勝を果たした活躍が際立っている。

 第1回FIFAバロンドール(世界最優秀選手)賞の選出方法は、FIFA加盟国の各代表監督と主将が23人の候補者から3人ずつ選ぶが、自国の選手を選ぶことができないのに対して、フランス・フットボール誌の特派員は3人の中に自国の選手を選ぶことができる。既に投票は済んでおり、12月20日にはフランス・フットボール誌の関係者がバルセロナを訪れて最終候補3人の写真撮影を行ったようだ。

 あとは来年2011年1月10日にスイスのチューリッヒで行われる第1回FIFAバロンドール賞の表彰式での最終発表を待つばかりだが、シャビ、イニエスタ、メッシのプレースタイルは三者三様で下馬評でも意見が分かれるところだ。

 シャビは、11歳からバルサの下部チームに入ってから中盤の要で、現在はやや上がり目のポジションでゲームメイクを行う指揮官としてプレーし続けており、バルサばかりかスペイン代表でもシャビがボールを触り、ボールをさばいて素晴らしいプレーが生まれている。

 イニエスタは、12歳からバルサの下部チームに入り、シャビ同様にゲームメーカーとしてプレーしていたが、ここ数年で中盤はもちろん、左右のサイドアタッカーやトップ下のポジションも器用にこなすポリバレンテ(多才)な選手として成長した。しかし、何と言ってもW杯南アフリカ大会決勝のスペイン対オランダ戦の延長後半11分に決勝ゴールを決めたインパクトは強い。

 メッシは、ホルモン異常で成長が遅い病気を抱えながらも類まれな才能を見いだされて13歳で大西洋を渡ってアルゼンチンからバルセロナに来てから急速に成長。22歳の若さで昨年2009度のバロンドール賞とFIFA最優秀選手賞を始め、昨季の欧州リーグ得点王に送られる欧州ゴールデンシューズ賞も獲得するスーパースターとなり、今季もゴールを量産し続けている。

 巷の噂、例えばイタリアのガゼッタ紙によると、FIFAバロンドール賞はイニエスタが獲得し、2位がシャビ、3位がメッシになると報道しているが、スペイン人の多くはシャビが獲得することを望んでいる。メッシの才能は言わずと知れて特別なものだし、W杯決勝で決勝ゴールを決めたイニエスタの多才さも捨てがたいが、実はバルサでもスペイン代表でもシャビのプレー次第、出来次第で試合の勝負が決まるといっても過言ではないことを皆が感じているからに違いない。個人的にもできればシャビに獲得してほしいが、3人の中から誰が獲得するにせよ、名誉ある第1回FIFAバロンドール賞はバルサが独占するだけに、バルサファンは大いに誇りに思うことだろう。(小田郁子=バルセロナ通信員)

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