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育成が順調なウルグアイ ユース代表を9カ月間放置したアルゼンチン

南米U―20選手権で優勝を果たしたウルグアイ代表
Photo By AP

 1月18日から2月11日にかけてエクアドルで開催された南米U―20選手権は、ウルグアイの優勝で幕を閉じた。ウルグアイが同大会を制覇したのは1981年以来実に36年ぶりの快挙。同国のユース代表育成部門は、06年からおよそ10年間にわたってオスカル・タバレスA代表監督の総指揮に基づく強化を実行してきたが、その成果がタイトルをもたらした形となった。

 と言ってもウルグアイは、地道に強化計画を実施してきた結果をすでに他の形で証明している。この大会での成績から今年5月に韓国で開催されるU−20ワールドカップへの出場権を得たが、現時点においてウルグアイは、U−20ワールドカップに6大会連続出場を果たしている世界で唯一の国なのだ(ナイジェリアも今月末から始まるU−20アフリカ選手権の結果次第で6大会連続出場)。一時的な結果に左右されることなく、ひとつの方針を貫くことでレベルの安定と基盤造りを成功させた良い例と言えるだろう。

 ウルグアイの他にU−20ワールドカップ出場権を得たのは、南米U−20選手権で2位となったエクアドル、3位のベネズエラ、そして4位のアルゼンチン。決勝リーグ最終戦でブラジルがコロンビアと引き分けたおかげで韓国行きの切符を手に入れたアルゼンチンは、ウルグアイとは正反対の状況にある。

 不正が発覚し、FIFAの介入から正常化委員会が設けられ、今も会長不在の状態にあるAFA(アルゼンチンサッカー協会)だが、このために昨年は2月から11月までの9カ月間、ユース代表の活動が一切行なわれなかった。AFAが機能を果たしていなかったためにリオ五輪に出場する選手もなかなか集らず、一時は出場辞退の可能性も囁かれたことは記憶に新しい。

 公募からの審査を経て、正常化委員会がユース代表のマネージャーに元アルゼンチン代表DFのロベルト・アジャラが選ばれたものの、U−17代表及びU−20代表監督は正常化委員会が指名。当然アジャラは納得できずに辞任し、AFA側が勝手に決めたクラウディオ・ウベダ監督の指導でU−20代表が始動したのは昨年10月のこと。ちなみにAFAは、公募で集められた44のユース代表強化プランを審査したが、ウベダの名前はその44の中に入っていなかった。つまり、公募は結果的に無意味だったことになる。

 ユース世代の指導では何のキャリアもないウベダを監督に指名するという不可解な人選の裏には、AFA内部に根付く政治的な力がちらつく。メディアからもファンからも懐疑的な視線を注がれる中、ウベダ率いるアルゼンチンU−20代表は、準備期間わずか2カ月というほぼ即席に近い状態でエクアドルに乗り込んだ。

 チームとしての完成度は未熟だったが、そこは才能の宝庫であるアルゼンチン、個々の実力がものを言った。ボカ・ジュニオルスの下部組織でカルロス・テベスの再来と評価されるマルセロ・トーレスと、ラシンが誇る若手ストライカー、ラウタロ・マルティネスの2人は、重要なシーンでゴールをマークして大きく貢献。同じくラシン所属のブライアン・マンシージャや、サンロレンソ所属でU−15時代からユース代表歴を持つトマス・コネクニーらの得点力も含め、優れたFWを常に輩出し続けるアルゼンチンならではの利点をフルに活用した。

 ぎりぎりの成績でU−20ワールドカップ出場を決めたアルゼンチンのウベダ監督は今回、大会前から自身の経験のなさを厳しく批判されていたことをよく知っている。公募で指導計画を提出したわけでもないのにいつの間にかU−20代表監督を任され、たった2カ月でチームを作らなければならなかったが、それが決して理想的ではないこともわかっている。

 ウベダ監督は、大会後このように語った。「奇跡を望むことはできない。時間をかけて取り組む必要がある。我々は今回の南米選手権を通して進歩があったという手応えを感じているし、厳しいゲーム展開の中で選手たちは強さと競争力の高さを証明してくれた。ワールドカップに向けて練習を重ね、チーム力を高めていきたい」。

 ウルグアイは、かつてホセ・ペケルマンによってユース代表の黄金期を築いたアルゼンチンを模範とした結果、今日に至っている。アルゼンチンはペケルマンとそのスタッフを解雇し、手当たり次第に指導陣を選んでは変え、最後には9カ月間もユース代表を放置するという重い罪を犯した。ユース指導経験のないウベダが監督に選ばれたのは正しい判断だったのかどうかは、まだ当分わからない。唯一はっきりしているのは、これだけの才能を擁する国として育成を放置するような愚行はもう2度と許されないということだけである。(藤坂ガルシア千鶴=ブエノスアイレス通信員)

[ 2017年2月16日 14:00 ]

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