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磐田・赤阪弘昭通訳 「一人の友人として」外国籍選手の支えに

[ 2020年5月8日 05:30 ]

再開を待つJな人々

外国籍選手を言葉で支える赤阪通訳(C)JUBILO IWATA
Photo By 提供写真

 Jリーグには多くの外国籍指導者や選手が在籍している。国と国の往来を遮断するコロナ禍。言葉で彼らを支える通訳の仕事も、平時と変化している。

 J2磐田には今季、スペイン人のフベロ監督ら3人の外国籍指導者と4人の外国籍選手がいる。4人の通訳のリーダー的立場にいるのが、現場スタッフ最年長の赤阪弘昭通訳(52)だ。

 扱う言語は英語にポルトガル語、スペイン語にイタリア語、そして韓国語と多岐。99年から数多くの外国籍選手らと関わる中で、異国での奮闘は「家族が一番の心の支え」であることを見てきた。

 その心のよりどころは、コロナ禍で遮断されている。磐田でもほぼ全員が家族の来日を中止せざるを得なくなった。赤阪氏は現在、週に1度ほど出入国在留管理庁に連絡。規制解除後にいかに早く入国できるかを随時情報収集して伝えている。

 幸い、7人とも英語を話せるため、非常時でも日常生活に滞りはない。磐田にはJ1昇格という「心の針」もある。「昇格、という確固たる目標があり、それが心の支えになっている」という。

 フベロ監督が4月25日の活動休止前から繰り返した「こういう時だからこそ強いメンタルを持とう」という言葉もチームに浸透。自宅待機中もみな前向きで、不安を訴える人はいない。それでも通訳4人でまめに連絡を取る。全員で心掛けているのは「仕事としてではなく、一人の友人として」接すること。懸念があればすぐ通訳のグループLINEで共有する。

 コロナ禍の現在、一部のJクラブでは外国籍の選手に鬱(うつ)の症状が見られることも分かってきた。異国の地で孤軍奮闘する外国籍の指導者や選手にとって、通訳は母国の言葉で思いを伝えられる唯一の存在。役割は重みを増している。

 ◆赤阪 弘昭(あかさか・ひろあき)1967年(昭42)5月19日生まれ、埼玉県所沢市出身の52歳。慶大理工学部を卒業後、英国へ語学留学。その後も予備校講師(数学)で得た貯金でスペイン、メキシコ、ブラジルへ留学。スペインで本場のサッカーに触れてJの通訳を志し、31歳の時にJ1、J2の全クラブに履歴書を送付。99年9月から磐田の通訳を務める。

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2020年5月8日のニュース