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C大阪・尹晶煥前監督“勝てる集団”づくりにまい進した2年間 監督業継続へオファー待つ中、古巣を心配

[ 2018年12月19日 18:47 ]

契約満了が発表されたC大阪の尹晶煥監督
Photo By スポニチ

 選手からの反発があっても、ぶれずに指揮を執り続けた。だから、悔いはない。12月初旬の某日。C大阪前監督の尹晶煥(ユン・ジョンファン)氏(45)は、荷物整理のためにクラブハウスを訪れた。来年以降も監督業を続ける予定ながら、まだオファーはどこからも届いていない。それでも、主力の流出が避けられそうにないC大阪を心配して「セレッソはどうなりそうですか?」と報道陣に逆取材していた。

 とにかく「勝てる集団」を作ろうとした2年間だった。昨年2月に実施された開幕前のインタビュー。計8季にわたって率いたレヴィー・クルピ元監督の自由な気風が色濃く残る中で「そのスタイルが正解なのか。それでやってきて良い結果を得られたのかどうか。そうではなかったと思う」と否定から入った。内容より結果。攻撃重視だったチームに守備の意識を植え付け、かつ杉本と山村の高さを生かす現実的なサッカーで2冠を獲得した。

 「勝たないと面白くない」「(監督業は)楽しいとは思わない。勝負の世界だから」。そんな言葉を何度も聞いた。サッカーに対して「楽しみたい」と訴える選手と溝ができても「自分がぶれてはいけない」と方針は曲げなかった。楽しんで勝つのではなく、勝つからこそ楽しい。この信念を貫き通した。過去、優勝争いをした翌年に3度のJ2降格を味わったC大阪にあって、今季の7位という成績は失敗とは言い切れない。

 子どもの学校などの都合もあり、当面は関西に住み続ける予定。日本の環境を気に入っていることから、Jクラブからのオファーを最優先にしており、話がなければ浪人生活も視野に入れている。監督としての幅を広げるため、今後はドイツ1部アウクスブルクの練習を見学に行くことも計画中だ。勝利に徹する指揮官が、ほかのJクラブをまた一から強くしていくところを見てみたい。(西海 康平)

 ◆尹晶煥(ユン・ジョンファン) 1973年2月16日生まれ、韓国・光州広域市出身の45歳。東亜大学校から油公に入団し00年にC大阪加入。03年に韓国へ戻り、06年に鳥栖入団。07年に引退。11年から14年8月まで鳥栖の監督を務め、15年から蔚山現代で指揮。17年からC大阪監督。家族は夫人と2男。趣味はゴルフ。

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2018年12月19日のニュース