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昇格とスタジアム基準、サッカー発展考えれば特例あってしかるべき

[ 2018年2月10日 10:20 ]

J3秋田の本拠地あきぎんスタジアム
Photo By 共同

 卵が先か、鶏が先か。昨季J3で優勝した秋田の本拠地あきぎんスタジアムの収容人数は4992人。J2クラブライセンス取得基準である1万人に満たないため、昨年6月30日の時点でJ2昇格を断念していた。19年のJ2参入を目指してスタジアム整備を計画しており、市、県議会でも議論は活発化しているとのこと。秋田のサッカー熱を高めてインフラ整備を後押しする意味でも、昨季Jリーグは特例でJ2昇格を認めていても良かったのではないか。

 変わってJ2町田。本拠地である町田市陸上競技場の収容人数は約1万600人で、J1クラブライセンス取得基準の1万5000人に満たない。20年までにスタジアムを改修する方針が固まっているが、今季は競技成績の基準(1、2位は自動昇格、3〜6位はJ1・16位を含めたプレーオフ)をクリアしてもJ1に昇格できないし、J1参入プレーオフに出場することもできない。近い将来にJ1基準を満たすことが確実視されるのであれば、昇格を認める特例があってしかるべきではないか。

 日本代表MF乾の所属するスペイン1部エイバルの本拠地の収容人数は約6200人。Jクラブの比にならない放映権収入があり、入場料収入に依存しない経営が確立されているとはいえ、欧州トップリーグにも小規模スタジアムで奮闘する例はある。地域などによる独自性が尊重されている点もリーグに味や深みを与えているように感じる。

 卵が先か、鶏が先か――の論争には様々な見解がある。2010年にイギリスの研究チームが「鶏が先」の可能性が高いと指摘する論文を発表したが、代表者は「決定的な答えが出たわけではない」と付け加えている。ユダヤ、キリスト教的には「鶏が先」、仏教的には「どちらでもない」との結論になるらしい。スタジアムが先か、昇格が先か。サッカー界の発展を念頭に置いた判断であれば、答えはどちらでもいい。(木本 新也)

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2018年2月10日のニュース