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長崎 悲願のJ1初昇格!経営難乗り越え5年目ついに

[ 2017年11月12日 05:30 ]

明治安田生命J2第41節第1日   長崎3―1讃岐 ( 2017年11月11日    トラスタ )

<J2、長崎・讃岐>J1昇格を決め、胴上げされる高木監督
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 長崎がホームで讃岐を3―1で下し、初のJ1昇格を決めた。後半28分にMF前田悠佑(32)が決勝ゴール。勝ち点を77に伸ばし、1試合を残して自動昇格圏内の2位を確定させた。J2初年度の13年以降、昇格プレーオフで2度はね返されてきた。今季は経営問題で揺れたチームを高木琢也監督(50)がまとめ、最高の結果をつかみ取った。

 クラブ史上最多2万2407人のサポーターから歓声と拍手が止まらない。初のJ1昇格決定。13年就任から5年間かけて一つの目標を果たした高木監督は「肩の荷が下りた。ホッとした」とかみしめた。試合後も1時間近くピッチで夢のような時間を過ごした。

 現在の勢いを象徴するような痛快な勝利だった。決勝点は1―1の後半28分。右サイドからファンマのクロスのこぼれ球に反応し、MF前田が冷静に右足で決めた。高木監督も「こういう形で勝ち越せれば、ほぼ負けない」と勝利を確信した。同37分はMF碓井のクロスにMF翁長が合わせてダメ押しの3点目。予感は的中した。

 自動昇格圏2位を争う名古屋と福岡が先に行われた試合で勝ち点3を上積みできず、勝てばJ1昇格が決まる大一番だった。同監督はライバルの結果を聞き、選手たちへ「我々が勝てば目標を達成できる」と短い言葉で闘魂を注入した。

 開幕前の2月に経営問題が表面化。約3億円の累積赤字を抱え、債務超過に陥ればJリーグ規約により来季J3降格となる懸念も示された。4月に通信販売大手ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)の創業者、高田明氏が新社長に就任。流れが変わった。7月以降は常に昇格プレーオフ圏6位以上をキープ。8月27日の第30節京都戦から、12戦負けなし(9勝3分け)のクラブ新記録で昇格を決めた。

 12日は高木監督の50回目のバースデー。最高のプレゼントを自らの手でつかんだ。「長崎は土地柄として西の果てで、何をするのも難しい地理条件。サッカー界最高のカテゴリーに挑戦できる。長崎の人たちにいろんなものを見せられる」。強い愛着を持つ故郷のクラブをJ1へ導いたことを何より喜んだ。

 ▽V・ファーレン長崎 2004年に有明町で活動していた有明SCと国見高サッカー部OBを中心に結成された国見FCが合併して、05年に現在のチーム名に改称した。09年からJFLに参戦して、4年目の12年に初優勝しJ2昇格を果たす。チーム名はポルトガル語のVITORIA(ヴィトーリア=勝利)、オランダ語のVREDE(ブレーダ=平和)とVAREN(ファーレン=航海する)の3つを組み合わせた造語。

 ≪31チーム目のJ1≫93年に平塚(現湘南)と磐田が最初のJ1(当時Jリーグ)昇格を果たしてから、今回の長崎が21チーム目のJ1初昇格。93年Jリーグ創設時の「オリジナル10」と合わせて、長崎がJ1所属通算31チーム目となる。高木監督のJ1昇格は06年横浜FCに続いて2チーム目でともにJ1初昇格。監督の初昇格最多回数は現J1清水の小林伸二監督(02年大分、08年山形、13年徳島)の3回。次いで現J2松本の反町康治監督(03年新潟、14年松本)の2回で、高木監督はこれに並んだ。

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2017年11月12日のニュース