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ジローナ大金星!独立問題カタルーニャ自治州 レアルと“代理戦争”

[ 2017年10月31日 08:14 ]

リーガ・エスパニョーラ第10節   ジローナ2―1Rマドリード ( 2017年10月29日 )

ポルトゥが勝ち越しゴールを決め喜ぶジローナイレブン(AP)
Photo By AP

 独立問題で揺れるスペイン北東部カタルーニャ自治州で、今季同1部に初昇格したジローナが大金星を挙げた。29日にホームで、昨季国内リーグと欧州チャンピオンズリーグの2冠に輝いたレアル・マドリードに2―1と逆転勝ち。1部初昇格チームが銀河系軍団を初対戦で破るのは、90年のブルゴス以来27年ぶりの快挙となった。

 J1基準にも満たない1万3500人収容の本拠地モンティリビを埋め尽くした地元観客が、歴史の目撃者となった。創立87年目で1部初昇格のジローナが、1部最多の優勝33度を誇るRマドリードに逆転勝ち。マチン監督は「欧州王者に勝てたことは誇り。小クラブでもレアルのようなビッグクラブに勝てることを世界中に示せた」と“無名”の選手たちを称えた。

 2部時代の09年にFW指宿洋史(現J2千葉)がプレーしたジローナは、年間予算は約4000万ユーロ(約53億円)という地方の小クラブ。同6億ユーロ(約792億円)を超えるRマドリードの15分の1以下で、マチン監督は「ヘビー級対フェザー級の対戦」と表現した。それでも先月のバルセロナ戦でメッシにマンマークをつけるなど、戦略家で知られる指揮官には秘策があった。「弱点」と分析した相手の体力を奪うため、攻撃では速攻を控え「ボールを幅広く動かして相手を走らせた」。1点を追うハーフタイムに「このまま戦えば勝てるぞ」と選手に話した通り、出足の鈍った相手から後半9分と13分に立て続けに得点。その後は「ジローナのDNA」と誇るハードワークと一体感でリードを守り切った。

 この試合には政治的な側面もあった。ジローナの地元カタルーニャ自治州では、首都マドリードを本拠地とするRマドリードを「中央政府の象徴」と目の敵にする風潮が根強い。独立問題を巡る「代理戦争」と位置付けられ、独立派の牙城は「歴史的勝利」(地元紙)に沸いた。ジローナ出身で中央政府に解任されたプチデモン州首相は、勝利を受け「おめでとう。我々も続こう」とツイッターに書き込んだ。

 ジローナは1部で初の連勝を果たし、12位まで浮上。独立問題の行方は不透明だが、サッカー界では王者撃破の勢いに乗って、さらなる下克上を狙う。

 ▼カタルーニャ自治州の独立問題 プチデモン州首相率いる独立派は10月1日、憲法裁判所の違憲判決を無視して住民投票を強行。州政府は6日に「投票率43%、賛成票90%」との公式開票結果を発表した。州議会が27日に「公式の独立宣言」を可決したことを受けて、スペイン上院は自治州の閣僚解任や議会解散などを承認し、中央政府は自治権の停止措置に踏み切った。

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2017年10月31日のニュース