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偶然ではない筑波大の快進撃 大宮戦で「新しい歴史をつくる」

[ 2017年9月20日 09:44 ]

大宮戦について話す筑波大・中野
Photo By スポニチ

 9月20日の天皇杯4回戦で、大学勢として唯一勝ち残っている筑波大が大宮に挑戦する。ここまでJ3のYS横浜、J1の仙台、J2の福岡を破って勝ち上がってきた。いまの形式になって大学勢がプロ3チームを破ったのは初めて、4チーム目の突破を狙っている。

 小井土監督は「絶好調というわけではないが、チームの底上げができて、新しい力で試合ができる。相手がどこでも普段通りのプレーができている」と手応えを口にする。ここまで勝ち上がってきたのは決して偶然ではなかった。

 14年に筑波大になって初の2部降格を経験。15年に小井土監督が就任し、2部から1年間で1部に復帰した。「降格でチームの歴史に泥を塗ったが、歴史は変えられないので、新しい歴史をつくろうとやってきた。4年生は落ちた瞬間も上がった瞬間も知っている。落ちた年も全員頑張っていたが、歯車かみ合わないとこうなるというもどかしさがあった。勝って当たり前の“当たり前”がどれだけ大切か感じている。当たり前の基準を高めるというのが、身をもって感じた部分」

 どん底を知って、チームとして生まれ変わったわけだ。

 強みは一体感。筑波大は162人の部員がいるが、トップチームの試合に出られるのはごく一部。しかし他の部員もさまざまな部分で貢献して一体感を持っている。その代表がパフォーマンス局。部員はいくつかの「局」に別れて、チームをサポートする活動をしているが、「(筑波大に)戻ってきたとき、部の運営に関することはひとりひとりが一所懸命やっていたが、ピッチの上のパフォーマンスに直結していないと感じた。一方でゲーム分析を手伝いたいとかトレーニングに興味ある部員もいた。エネルギーがくすぶっていたので、チームに役立てようと呼びかけた」。それがきっかけでパフォーマンス局ができて、自チームの分析、対戦相手の分析などを行い、チームに役立てている。

 目指すチームは「選手ひとりひとりの顔が見えるサッカー。その選手だからできることを存分に発揮できるチームにしたい。そして、ゲームの中で自分たちで流れを変えられ、自分たちで話し合ってよりよい選択ができる自立したチームにしたい。そこはJリーグとの試合の中で成長している部分だと思う」という。主役は選手、磐田入りが決まっているFW中野ら個性的な選手が多数出てくるのはそのためだ。

 大宮にはどう戦うか。小井土監督は「普段通りにできるかどうか。相手をリスペクトしすぎず、自分たちを過信しすぎずやるべきことをやるというのに尽きる。大宮は下位で苦しんでいるが、J1だし力はある。どういうメンバーで来るかわからないが、当日メンバーを見てピッチに立ってからの勝負」という。「新しい歴史をつくる、という気持ちはある」と語るが、歴史に残る戦いになることだけは間違いなさそうだ。(大西 純一)

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2017年9月20日のニュース