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雪には折れぬ…代表落選の危機あるという本田圭佑選手に思う

サウジアラビア戦の前半、相手にボールを奪われガックリの本田
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 【鈴木誠治の我田引用】サッカーのW杯ロシア大会アジア最終予選の最終戦、サウジアラビア戦が9月5日に行われた。すでに本大会出場を決めていた日本代表にとっては、0―1で敗れた試合結果よりも、本大会の代表入りに向けたサバイバルの意味合いが強い試合になった。

 先発した本田選手の低調なパフォーマンスが、話題になった。試合後に本人も「全然、ダメですね。ダメだったという結果しか残らない」と話した。今予選中、進んでいないと指摘されてきた世代交代だったが、新たな選手が台頭し、ベテラン勢とのポジション争いが活性化してきた。本田選手は、その象徴的な存在になっている。



 限りあれば吹かねど花は散るものを 心短き春の山風



 戦国武将、蒲生氏郷の辞世といわれる句だが、死を前に、達観したあきらめの心情が痛々しい。スポーツ選手に置き換えれば、引退に向かってキャリアを重ねていく心の内にも似ている。中でもサッカーでは、選手の引退の前に「代表引退」が訪れる。2つの引退と闘わなければならない。

 ただ、この引用は、本田選手をイメージしたものではない。なぜなら、彼は試合直後、こうも話していたからだ。

 「代表でも自分の良さが一番、生きるのは真ん中。しっかり自分がいいプレーをしないと、真ん中では使ってもらえない。まずは真ん中で試合に出続けることが重要」

 スポーツ選手は、体力や気力の減退、若手の台頭などで、少しずつ活躍の場を失っていく。徹底的にもがくか、潔く身を引くか。選手によって考え方は違うが、引退に向かうトップ選手の多くは、「経験」「実績」を武器として生き残っていこうとする。

 しかし、本田選手の言葉からは、経験や実績で代表のポジション争いを勝ち抜こうという気持ちは見えない。1人の選手として、監督に「使ってもらう」ために何をすべきかだけを考えているように感じるのだ。



 降ると見ば積もらぬさきに払えかし 雪には折れぬ青柳の枝



 死の床についた蒲生氏郷が辞世をつぶやいたとき、枕元の千少庵が返したとされる。氏郷は千利休の弟子。少庵は利休の養子という関係だ。

 経験と実績が大きいほど、桜の花は華やかに咲くかもしれないが、嵐には弱い。その枝も、自信が詰まった強さがあるだろうが、雪の重さに耐えられないこともある。過去2大会のW杯で日本代表を率いた本田選手は、経験も実績も十分に持っているだろう。でも、彼の言葉には、青柳の枝のような、しなやかさがにじむ。

 スポーツの世界で勝ち抜くのは、情が入り込む余地が少ない分、難しく、厳しい。A代表キャップ91。本田選手は、経験と実績だけでは、厳しい代表争いを勝ち抜けないと、身をもって示そうとしているのではないかと思う。

 ◆鈴木 誠治 (すずき・せいじ)1966年、浜松市生まれ。サッカーW杯予選の思い出は、1985年のメキシコ大会アジア最終予選、日本代表―韓国代表。当時のサッカーは不人気競技だったが、国立競技場が満員になり、観客同士で驚き合った記憶がある。記者となったのちに、エースの木村和司さんに客席にいたことを告げると、試合前にピッチに出てスタジアムを見たとき、「泣きそうになった」と話していた。

[ 2017年9月9日 10:00 ]

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