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ハリル監督 采配大当たり!解任危機一転ロシアW杯まで続投へ

[ 2017年9月1日 05:30 ]

W杯アジア最終予選B組   日本2―0オーストラリア ( 2017年8月31日    埼玉 )

<日本・豪州>W杯出場を決めガッツポーズをするハリルホジッチ監督(奥)
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 W杯出場を告げる笛が響くと、ハリルホジッチ監督の目に涙が浮かんだ。目頭を押さえてスタッフがつくる歓喜の輪に加わり「これは日本の国民の皆さんの勝利。私は若い選手を信頼して使うべきだと思っているが、それが正しいことを証明できた」と胸を張った。

 試合ごとに戦術と起用を自在に変え、アルジェリア監督時代に「奇術師」と呼ばれた指揮官の采配が的中した。ロングボール主体からボール保持率を上げるスタイルに移行したオーストラリアの特長を消すため、W杯予選のホームでは初めて4―1―4―1布陣を採用。先発に抜てきした浅野、井手口の若い2人の得点で勝利をたぐり寄せた。前半41分の浅野の先制点の際には、指揮官まで「ジャガーポーズ」を披露。それほど興奮していた。

 休暇中の7月、指揮官は故郷ボスニア・ヘルツェゴビナにある世界遺産スタリ・モスト(古い橋)を訪れた。ボスニア紛争が激化した93年。フランスに移住すると、直後に街は激しい空爆に見舞われた。「フランスに渡った翌日に、私を殺そうとする人たちが来たそうです」。家や経営していたカフェなど全財産を失った時、スタリ・モストも破壊された。橋は復興の象徴として04年に再建。指揮官は橋を見るたびに現在の境遇に感謝する。

 16年9月1日の最終予選初戦でUAEに敗れると、その後は解任危機にさらされ続けた。引き分け以下でクビだった同10月6日のイラク戦はロスタイムの決勝弾で辛勝。この日も結果次第で解任の可能性があったが、日本協会の田嶋会長は「こういう勝ち方で決めたので、ぜひロシアまでやってもらいたい」とW杯ロシア大会までの続投を確約。1年間に及ぶ進退問題がようやく収束した。

 指揮官は公式会見で家族に健康問題があったことを明かし「試合前に帰国しようと思ったが、私はこのチームに責任があった」と胸の内を吐露。「プライベートのことなので、たくさんのことにはお答えできない」と質問を受け付けなかった。関係者によると、5日のサウジアラビア戦は予定通り指揮を執る。侍ブルーに全てをささげて手にしたW杯切符だった。

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2017年9月1日のニュース