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欧州移籍市場に影響を及ぼしはじめた中国の“爆買い規制策”

[ 2017年6月29日 10:30 ]

広州恒大・パウリーニョ
Photo By スポニチ

 中国の“爆買い規制策”が、欧州の移籍市場にも影響を及ぼしはじめた。きっかけは中国サッカー協会が新たに導入した新制度。6月14日に1、2部の32クラブに対し、クラブが選手獲得のために支払う移籍金が実質的に2倍となる規制を通達した。海外から4500万元(約7億4000万円)を超える移籍金で選手を獲得した場合、同額を同協会の若手育成基金に支払う規則で、19日にスタートした移籍市場から導入された。

 ここ数年、中国で起きていた“移籍金バブル”の崩壊につながるかもしれない。南米からの選手補強に加えて、16年以降は欧州のクラブから大物選手の引き抜きが一気に増加。移籍金の最高額は、上海上港がゼニト(ロシア)からブラジル代表FWフッキを、チェルシー(イングランド)から同代表MFオスカルを、それぞれ獲得するために支払った6000万ユーロ(約76億円)まで上昇したと報じられていた。

 新制度は海外のスター選手が大量に加入することを抑制するものだが、意外にも中国から欧州へ移籍しようとする選手に対する影響が最初に表面化した。15年夏にトットナム(イングランド)から広州恒大に加入したブラジル代表MFパウリーニョが、その活躍が評価されてスペインの名門バルセロナからオファーを受けたが、クラブ側は拒否する構え。広州恒大のルイス・フェリペ・スコラーリ監督は26日の会見で「彼の移籍金は4000万ユーロ(約51億円)」と明かした上で「中国のどのクラブも現在所属しているキープレーヤーを手放さないだろう。なぜなら新制度によって、代わりの選手を獲得するのに移籍金がかかりすぎるからだ」と説明した。

 爆買いは終わるのか。それとも移籍金を“2倍”支払っても、中国入りが噂されるマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)のイングランド代表FWルーニー、チェルシーのスペイン代表FWジエゴ・コスタらのような大物選手を獲得するのか。中国クラブの補強は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で対戦するJリーグ勢にも影響を及ぼすだけに、今後も注目が集まりそうだ。(記者コラム)

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2017年6月29日のニュース