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原口の約束「W杯弾必ず」難病少年へ元気贈る 8・31豪州戦

[ 2017年6月16日 05:30 ]

原口(右)は病気と戦う菊地秋也くん(左)にスパイク、ボール、色紙をプレゼントした(秋也くんを救う会提供)
Photo By 提供写真

 日本代表FW原口元気(26=ヘルタ)が15日、自身の大ファンで心臓の難病「拘束型心筋症」と闘う菊地秋也(しゅうや)君(11)を見舞うため、板橋区の日本大学板橋病院を訪問した。約30分間面会し、秋也君と8月31日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(埼玉)でチームを本大会出場に導くゴールを決めると約束した。

 こみ上げるものを抑えることなどできなかった。「彼と約束したので。オーストラリア戦で点を取ってほしいと言われた。約束を果たしたい」。小さなファンと交わした約束が原口の目を潤ませた。

 浦和サポーターの父・陽介さん(43)の影響で幼い頃からサッカーに親しんだ秋也君だが、小学1年の時、学校検診で心電図に異常が見つかり、拘束型心筋症と診断された。現在は「秋也くんを救う会」が中心となり、米国で心臓移植を受けるための費用1億2700万円の募金活動が行われている。原口は秋也君と「救う会」の活動を報道で知り、「ずっと何かしたいと思っていた。話をしてあげたいと思い、今日は来ました」と行動に移した。

 病室で対面した秋也君は緊張でうまく話すことができなかったが、原口が「体調はどう?」、「俺のどんなところを好きでいてくれているの?」と話し掛け緊張をほぐしていった。サイン入りのボールとスパイク、「一緒に治して、一緒にボールを蹴ろうね」とメッセージを入れた色紙もプレゼントした。面会後、秋也君は気力を振り絞り車椅子に乗って病室の外まで原口を見送った。秋也君の懸命な姿や「オーストラリア戦、頑張ってください。10点取ってね」のお願いに胸が熱くなった。「10点は無理だよ。でも1点取るからね。秋也君も絶対に大丈夫だからね」。涙の約束は大一番への原動力となった。

 「彼にとって病気が早く治るというモチベーションになってくれたらうれしい」。小さなファンの思いを背負い、自身のゴールでW杯本大会出場を決める思いはより強くなった。

 ≪突然死のリスク高い「拘束型心筋症」≫心室の拡張や肥大を伴わず、心筋の収縮も正常であるにもかかわらず、心室の壁が硬く広がりにくくなり、十分に膨らむことができない原因不明の難病。突然死のリスクが高く、小児は病状の進行が早いとされる。

 ≪父・陽介さん「何よりの薬」≫秋也君の父・陽介さんは「秋也はずっと憧れていた選手が目の前に来て、緊張したみたい。今は落ち着いて、頂いたボールやシューズを眺めています」と面会後の秋也君の様子を明かした。「どんな薬よりも原口選手が点を取ってW杯出場を決めてくれることが秋也にとっては何よりの薬です」と原口の計らいに感謝していた。

 ≪目標額1億2700万円、現時点で約8800万円≫秋也君は早期の心臓移植手術が必要と診断されており、「秋也くんを救う会」が渡米して手術を受けるための費用について募金を呼び掛けている。目標額は1億2700万円で、現時点で約8800万円が集まっている。募金などの問い合わせは「秋也くんを救う会」=(電)048(424)3885、公式サイト=まで。

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