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FW久保、注目逆手“おとり作戦”縦パス反応もスルーでV弾演出

[ 2017年5月13日 05:30 ]

練習試合   U―20日本代表1―0磐田 ( 2017年5月12日    ヤマハ )

<U−20日本代表・磐田>1本目、市丸のパスをスルーする久保(左)
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 20日開幕のU―20W杯韓国大会に出場するU―20日本代表は12日、静岡県磐田市のヤマハスタジアムで、若手中心の磐田と30分2本の形式で練習試合を行い、1―0で勝利した。飛び級招集されたFW久保建英(15=FC東京U―18)は前半の1本目に2トップの一角で出場。同24分には縦パスをあえてスルーし、FW小川航基(19=磐田)の決勝点を演出した。周囲の注目を逆手に取る逆転の発想で、新たな攻撃の引き出しを見せた。

 その瞬間、誰もが肩透かしを食らった。前半24分、センターサークル付近からMF市丸が久保の左足を目掛けてスルーパス。ボールに反応しながらも、練習パートナーのMF伊藤の動き出しを確認した久保は、そのボールを鮮やかにスルーした。そのボールはMF伊藤につながり、GKに阻まれたシュートのこぼれ球を小川が押し込む決勝弾となった。「最初、自分で行こうと思ったけど、後ろを見たら伊藤選手がフリーで前に抜け出せそうだなと思ったので、触るフリをして触らなかった」。狙い通りの“おとり作戦”だった。

 逆転の発想だった。バルセロナの下部組織出身という肩書に裏打ちされた確かな技術と視野の広さに加え、今大会で2番目に若い天才には注目が高まるばかり。世界を勝ち抜くため、その注目度を逆手に取って周囲を生かす選択肢も15歳の頭の中にはある。

 この日は、日の丸を背負う魂も注入された。ヤマハスタジアムに到着したイレブンを待っていたのは、元日本代表10番で磐田のMF中村俊だった。試合前、約3分という短い時間だったが、97年の世界ユース選手権に出場したレフティーは自身の経験を交え、世界の力量を見極める重要な大会と説いた。久保をはじめ、世界を脅かすことを目指す誰もが、襟を正して聞き入った。

 チームは15日にU―20ホンジュラス代表との親善試合(エコパ)を行い、決戦の地・韓国に向かう。「今日は短い時間だったけど、何回かいいプレーを出せた。出し切れなかった部分もあったけど、悪くはなかった」。15歳の久保は日を追うごとに、世界と互角以上に渡り合う男へと成長を遂げている。

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