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ボールボーイ問題を教訓に

4月29日の千葉戦で高山主審(左)に詰め寄る徳島DF馬渡
Photo By スポニチ

 【大西純一の真相・深層】4月29日のJ2千葉―徳島戦で徳島の選手が試合中に中学生のボールボーイを“小突いて”反スポーツマン行為と判断されて一発退場となった。徳島のチャンスで、早くスローインをして攻撃を再開したい場面。ボールを渡すタイミングが遅れたボールボーイに詰め寄ったもので、“小突いた”というと大げさかもしれないが、いずれにしろプロとしては失格だ。試合に勝ちたい一心とはいえ、どう考えても許されることではない。本人も「感情的になってしまった。反省している」と弁明していたが、私は主審の判定は正しいと思うし、厳しい処分が下されるのも当然だろう。

 25年前にJリーグができたことを契機に日本のサッカーは、技術面では格段に進歩した。アジアでもトップクラスだが、“人間”という部分ではどうだろう。高校サッカーの名門・清水商(現清水桜ケ丘高)の大滝雅良監督は「私はサッカーは教えられないが、人間教育はできる。教員は朝授業が始まる時から、放課後の部活が終わるまで選手と接している」と謙遜ぎみに話していた。1日の半分近くの時間、生徒と接してさまざまなことを教えている。高校サッカーの良さでもある。J2湘南の曹貴裁監督も川崎Fの下部組織を指導していた時、選手が練習の行き帰りの路線バスの中でパンを食べたりしているのを見かけると、「乗り物の中で食べたら駄目だ」と、厳しくしかった。こちらは時間は短いが、密度濃く選手と接して、人間として大切なことを教えた。

 残念ながら、サッカー界はこういう指導者ばかりではないのが現状だ。プロだけに、指導者もスタッフも選手を大人として扱い、「サッカー以外のことは自己責任で」という傾向がある。もちろんJリーグはプロ1年目の選手に新人選手研修の出席を義務づけ、サッカー界の仕組みや社会人としての心構えなどをレクチャーしているが、十分とはいえない。「3年目研修」など、もっと継続的にやる必要があるのではないだろうか。チームによってはスタッフが教えているところもあるようだが、各クラブに専任の「生活指導担当」を置くのはどうだろう。目に見える形にすることで、浸透度が増す。

 日本サッカー界の父といわれたクラマーさんは「サッカーは子供を大人にし、大人を紳士にする」と言ったが、サッカーをしただけで自然と大人が紳士にはならない。「そんなことまで…」という意見もあるだろうが、今回も「まさか」が起こった。最近も小さな事件が時々起こっている。取り返しのつかないことが起こってからでは遅い。今回のことも一選手の問題と片付けず、リーグとしても重く受け止めてほしい。 (専門委員)

 ◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。

[ 2017年5月3日 10:00 ]

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