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北朝鮮選手初セリエA弾!カリアリFWハン・クァンソン豪快ヘッド

[ 2017年4月11日 08:30 ]

セリエA・第31節   カリアリ2―3トリノ ( 2017年4月9日 )

後半アディショナルタイム、ゴールを決め喜ぶ北朝鮮人FWハン・クァンソン(AP)
Photo By AP

 イタリア・セリエAにアジア出身の若きスター候補が出現した。カリアリに所属するU―19北朝鮮代表FWハン・クァンソン(18)が9日、デビュー2戦目となったホームのトリノ戦でプロ初得点を記録。前節の2日パレルモ戦で北朝鮮人選手として初のセリエA出場を果たしており、得点も同国出身選手としてリーグ史上初となった。

 ACミランの本田、インテル・ミラノの長友が今季決めていないセリエAでの得点を、18歳の北朝鮮人選手がプロ2戦目で奪った。カリアリのFWハン・クァンソンは後半36分から出場し、同50分に左クロスを豪快に頭で押し込んだ。「初ゴールを決められて本当にうれしい。監督、チームメートのおかげ。好きな選手はロナウド(Rマドリード)です」とクラブ公式サイトで喜びを語った。

 北朝鮮人選手としてセリエA初出場、初得点と2週連続で歴史を刻んだ。前節の2日パレルモ戦は後半41分から途中出場しプロデビュー。試合後、ラステッリ監督は「才能とスピード、成功しようというハングリーさがある」と評価していた。

 2月からカリアリにテスト生として加入。ユースチームの国際大会でゴールを挙げるなど結果を残して3月10日にトップチーム昇格を勝ち取ったが、イタリアでは反対の声もあった。北朝鮮人選手との契約が、核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対する国連制裁に反するか、国会議員が政府に質問状を提出するなど政治的な話題にもなった。

 国を挙げて育成されたエリートだ。北朝鮮は13年からサッカー留学を本格化。スポーツ好きの金正恩第1書記(当時)の発案とされ、毎年国内で選抜された10代前半の少年30人前後が国費でイタリア、スペインの現地スクールで学んでいる。ハンもその一人で両国に留学して力をつけてきた。14年にはU―16北朝鮮代表としてU―16アジア選手権(タイ)に出場し、大会2位の4得点を挙げて優勝に大きく貢献。翌15年にはU―17W杯(チリ)に出場するなど国際的な評価を高め、リバプール、マンチェスターCなども獲得に興味を示していたという。

 15年には英紙ガーディアンが選ぶ「98年生まれの将来有望な50人」の一人に日本のMF堂安律(りつ、G大阪)、韓国のFW李承佑(イ・スンウ バルセロナB)らとともに選出され「李がメッシなら、ハンはロナウドのよう」と評された。ハンのような有望な若手が数多く台頭してくれば、W杯アジア予選などで対戦する可能性のある日本にとって脅威となりそうだ。

 ◆ハン・クァンソン 1998年9月11日、北朝鮮平壌生まれの18歳。14年からスペイン・バルセロナ、イタリア・ペルージャに留学。14年のU―16アジア選手権では決勝の韓国戦で同点ゴールを決めるなど6試合4得点の活躍で優勝に貢献。15年のU―17W杯は4試合無得点も、チームは16強入り。昨年のU―19アジア選手権は1得点。1メートル78、70キロ。

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2017年4月11日のニュース