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今野の代わりは中村憲剛でしょ

[ 2017年4月1日 09:00 ]

川崎Fの中村憲剛
Photo By スポニチ

 【大西純一の真相・深層】サッカーのW杯アジア最終予選は3月23日のUAE戦と28日のタイ戦で日本が連勝。首位に立ってロシアでの本大会に大きく近づいた。この2試合でベテランの存在感と選手間の競争の大切さが、あらためてクローズアップされた。

 チームの軸だった長谷部が故障で離脱したが、UAE戦では今野がゴールを決めるなど大活躍し、インパクトを残した。やはり経験豊富な選手は落ち着いている。冷静に相手の攻撃の芽を摘み、ここぞという時は攻撃参加する。勝利を決める2点目は絶妙なポジショニングだった。2年ぶりに招集されてもしっかりプレーできるところは「さすがベテラン」とうならせられた。

 だがその試合で左足を痛めて戦列を離れ、代わってタイ戦で招集されたのは浦和の遠藤だった。ハリルジャパンには何度も呼ばれていたが、浦和ではボランチではなくDFで出場している。それなら川崎Fの中村憲剛を呼ぶべきだろう。コンディションの確認は必要だが、昨年も代表発表会見で、ハリルホジッチ監督がバックアップメンバーとしてわざわざ名前を挙げていたし、評価しているなら実際に呼ぶ絶好のチャンスだった。今回のバックアップメンバーには入っていなかったが、やはりバックアップメンバーではなかった遠藤がタイ戦から追加招集されたのだから問題ないはずだ。

 川崎Fの試合をじっくり見れば、チームが好調な要因が中村の存在だということがよく分かるし、特に前線の選手へのパスの質が違う。タイミング、強さ、精度の高さなどこれだけのパスを出せる選手はいない。小林も大迫の代わりで招集されたが、なおさらセットで呼んでほしかった。中村はベテランと言っても今野と2歳しか違わない。ハリルホジッチ監督は本大会時の年齢を言うが、別に予選と本大会をセットで考える必要はなく、まずは予選でベストを尽くすことが一番だ。

 今回の2試合で久保は素晴らしかった。2試合で5点に絡む活躍で結果を出した。大迫もいいプレーを見せた。大迫に代わってタイ戦で先発した岡崎は、UAE戦はベンチスタートだったが、国際Aマッチ通算50得点となるゴールをマーク。久保や大迫が活躍する中で「まだまだ負けない」という意地を見せた形だ。これが競争で、チームを活性化する。ほかにもFC東京の大久保らも呼んで若手と競争させてもいい。そうすればチームはまちがいなく活性化する。今野の活躍で証明されたのだから、ぜひやってほしい。(専門委員)

 ◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。

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2017年4月1日のニュース