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浦和GK西川の大事なルーティン 湯布院の福地蔵に込めた故郷への思い

[ 2017年1月25日 11:10 ]

西川のロッカーにある、故郷大分・湯布院の「福地蔵」
Photo By スポニチ

 毎日行うルーティンほど、その選手のキャラクターを物語るものはない。浦和の日本代表GK西川にも、大事にしている儀式が存在する。大原サッカー場にある西川のロッカールーム。その上部には、かわいらしいお地蔵さんが飾られている。地元の大分・湯布院から取り寄せた「福地蔵」という。そのお地蔵さんの頭をなでながら毎日、語りかける。練習後には「今日はケガをせず無事に終わりました」と報告し、試合前日や遠征前には「今から行ってきます」「明日、頑張ってきます」と願いを込める。

 大分時代に妻の亜美さんが購入し、ロッカールームに飾ったことがきっかけ。以降、リーグ2連覇を達成した広島時代も浦和に移籍してからも日々、欠かさない願掛けだ。実は、現在のお地蔵さんは“2代目”だという。15年10月。大原サッカー場で行ったイベントの参加者に渡すスパイクを取りに行ったクラブスタッフが“1代目”を落として割ってしまった。その翌日に西川は風邪をこじらせ練習を欠席。そこからチームの失速も感じ取ったという。福地蔵に不思議な縁を感じた守護神は、これまでよりも一回り大きなサイズの2代目を湯布院から取り寄せ、ロッカールームに置いた。ちなみに、1代目を壊してしまったスタッフも自責の念に駆られ、福地蔵をひそかに購入して大事にしている。

 何げないおまじないだが、大事な思いが込められている。昨年4月に熊本、大分で震災が発生。その直後に西川は槙野、李、大谷(現新潟)らと被災地に駆けつけ、笑顔を届けた。励ましに行ったはずが逆に勇気づけられた経験をきっかけに強く思ったことがある。「自分が健康でいることが、故郷の子どもたちに元気や勇気を与えられたり、話題を提供することもできる。いろいろなチャンスが訪れる。そのために、まずは自分がピッチに立ち続けないといけない」。自分のプレーには、多くの人の思いが詰まっている。小さなお地蔵さんをなでて健康を祈る単純な作業は、今の西川にとっては戦う意味を再認識する大切なルーティンだ。

 2017年。浦和でのリーグ制覇を目指す西川には、日本代表として厳しいアジア最終予選も待っている。三十路(みそじ)となった守護神にとって勝負の年になる。人事を尽くしてお地蔵さんの御利益を待つ。浦和ファン、サポーターはもちろん、日本中に“福を呼ぶ”西川の活躍に期待したい。(大和 弘明)

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2017年1月25日のニュース