×

海外と異なる日本のサッカー少年を取り巻く現状 侍ブルーの未来のために…

[ 2017年1月13日 10:30 ]

サッカー教室で少年たちとプレーする長友佑都
Photo By スポニチ

 サッカーは母国イングランドで労働者階級のスポーツとされる。王国ブラジルではスラム街出身の選手も多い。起源は諸説あるが、戦争で勝利した国が討ち取った敵将の首を蹴り合って祝ったことが始まりというのが有力とされる。サッカーはボール1つあれば、蹴る物さえあれば、誰でもできるゲーム。だからこそ、200を越える国と地域で、2億5000万人を超える人々がプレーする世界で最も人気の高いスポーツとなった。

 現在の日本。都内には「球技禁止」の看板がある公園が目立つ。セキュリティーの問題から放課後の校庭を開放しない学校も増加している。小学生の子供を持つ知人は、週1回1時間のサッカー教室に1万円の月謝を払っている。ユニホーム、練習着、ジャージー、アンダーウェアまで指定のものを購入する必要があり、遠征費などの出費もかさむ。近年、アンダーカテゴリーの日本代表には大企業に務める保護者を持つ裕福な家庭で育つ選手が増えている。

 日本サッカー協会に登録される第4種(12歳未満)の人口は14年から減少に転じた。人口減少、少子化など構造的な背景もあるが、気軽にボールを蹴ることができる環境が減ったことが何よりの問題だろう。学校の校庭を積極的に開放してもらう取り組みや、選手の金銭的負担を軽減する施策を打ち出せれば、4種の人口減少に歯止めがかかる可能性は十分にある。

 サッカーを習うのではなく、サッカーで遊ぶ環境ができれば、システム化された現体制では育ちにくい独特の感性を持った選手が生まれる効果も期待できる。現在32のW杯出場枠が26年大会から48に拡大されることが決まり、アジア枠の大幅増は確実だが、近年の中国やインド、東南アジア諸国の発展はめざましい。日本でサッカーの“塾化”がこれ以上進むようなら、侍ブルーの未来は楽観視できない。(記者コラム・木本 新也)

続きを表示

2017年1月13日のニュース