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レアルとJクラブ、11年で縮まった距離 鹿島が示した日本サッカーの進歩

[ 2016年12月20日 13:40 ]

<鹿島・Rマドリード>ブロンズボールに輝いた柴崎(左)はゴールデンボールのC・ロナウドのねぎらいを受ける
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 11年前とはまったく違う白い巨人の姿があった。18日に横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で開催されたクラブW杯決勝レアル・マドリード−鹿島戦。2−2で突入した延長前半8分に決勝弾を決めて仁王立ちポーズをするC・ロナウドは心の底から歓喜していた。Jリーグ王者を相手に本気になったからこそのパフォーマンス。試合後にジダン監督が発した「リーガでプレーできるのではないかと思う選手は何人かいた」との言葉をうのみにしてはいけないと思いつつ、単なる社交辞令ではないのではと期待する気持ちもある。

 時はさかのぼって05年7月25日、味の素スタジアムで開催された親善試合Rマドリード−東京V戦。ジダン、ベッカム、ロベルト・カルロス、ロナウドらを擁した銀河系軍団は完全な花試合モードで来日していた。完全になめきった状態でピッチに立ち、石崎信弘監督の率いる本気の東京Vに0−3で完敗。当時の東京Vスタッフによると、ハーフタイムにはベッカム、ロナウドらが東京Vの控室に乗り込み「親善試合なのになんで本気で削りに来るんだ!」と怒号を浴びせたという。

 おそらく今回のRマドリードも鹿島の細かい分析はしていなかったし、戦前は心のどこかで格下と見くびっていた部分があっただろう。延長戦で2得点して結果的に4−2で勝利した展開も、天皇杯でJ1クラブがJFLや大学生に苦戦しながら最終的に勝ちきる試合と重なる。それでも鹿島に勝ち越しを許した後半7分以降は必死でボールを追うC・ロナウドやベンゼマ、モドリッチらのプレーを引き出すことができた。パススピードやトラップの技術、身体能力など個々のレベルの差がまだ大きいことは否定できないが、控室でしか本気にさせられなかった11年前とは違う。欧州王者をピッチ上で本気にさせたことが、日本サッカー界の進歩の証だった。 (記者コラム・木本 新也)

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2016年12月20日のニュース