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鹿島先制弾“アシスト”FIFA史上初のビデオPK判定

[ 2016年12月15日 06:45 ]

クラブW杯準決勝   鹿島3―0Aナシオナル ( 2016年12月14日    吹田ス )

<鹿島・Aナシオナル>前半、主審がペナルティスポットを指さし鹿島にPKが与えられる
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 新テクノロジーのビデオ判定システムが、鹿島の決勝進出を後押しした。FIFA主催大会で史上初めて採用された「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」によって主審がPK判定を下し、前半33分にMF土居聖真(24)が先制ゴール。試合の流れを大きく引き寄せた。 クラブW杯 日程&結果

 歴史的判定だった。ハンガリーのカッシャイ主審は前半29分、ボールがサイドラインを割った場面で試合を止めた。MF小笠原から再開を要求されると、両手で四角を描きジェスチャーで“ビデオ判定”を説明。30秒ほどインカムで話した後、走ってピッチ脇へ。約10秒モニターで映像を確認すると、笛を吹いて左手でPKスポットを指さし、鹿島にPKを与えた。中断から判定まで約1分。静まりかえっていた場内にどよめきが広がり、同33分に土居がPKで先制点を決めると歓声が上がった。

 試合後、Aナシオナルのルエダ監督は「ビデオ判定に関してはミーティングをしていた。(鹿島の)選手は倒れたが、あれは故意じゃない。(先制点を奪われ)我々の秩序は乱れた。きょう我々はテクノロジーの被害者になった」と怒りをぶちまけた。問題の場面は中断1分前の前半28分、MF柴崎が蹴ったFK。ビデオ判定映像には、ペナルティーエリアのファーサイドにいたDF西が、FWベリオに後ろから脚を引っかけられて倒れるシーンがはっきりと映っていたが、その時点では主審は笛は吹かずプレーを続行していた。

 FIFA主催大会で初導入されたビデオ判定システムで、初めて下されたPK判定だった。FIFAは試合結果を左右する場面での明らかな誤審を防ぐため、今夏から2年間の試験導入を開始していた。スタジアム内にモニターを並べた部屋が用意され「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」と呼ばれる補助審判が試合映像、ビデオをチェック。間違った判定や微妙なシーンなど、必要に応じてインカムでピッチの審判にアドバイスを送る。最終的には主審がピッチサイドに用意されたモニターで映像を確認して判定を下すシステムだ。9月2日に親善試合イタリア−フランス戦で国際試合で初めて試験導入され、ドイツ、オランダなどの国内リーグでもテスト運用されている。

 鹿島の石井監督は「ああやって判定していただければ、公平な形でジャッジしていただける」と歓迎した一方で「ただ、あれが何度も繰り返されれば、ゲームの流れが途切れてしまう」と指摘した。DF昌子は「セットプレーのたびに“自分たちも(PKを)すぐに取られるぞ”と言い合っていた」とビデオ判定に神経質になっていたと明かす。その威力を世界中に知らしめた新技術は、選手のプレーや心理に大きな影響を与えそうだ。

 ▼FIFAブサカ審判委員長 PK判定の場面では、主審とビデオ・アシスタント・レフェリーのコミュニケーションは明快だった。技術はうまく機能した。VARはあくまで補助で、最後の判定は審判が下した。

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