×

サッカー界に別れの季節…立ち話のようにクビ宣告 そこに誠意はあるのか

[ 2016年12月6日 16:00 ]

 日本サッカー界において、この時期は別れの季節だ。次へのステップに踏み出す者、志半ばでチームを去る者、やりきった者。結果が全てのプロフェッショナルの世界において「別れ」は当然の出来事として受け止めている。ただ、最近の某クラブを見ていて痛感するのが「別れ方」は大事なのでは、ということだ。

 記者の思い入れが強い某クラブは、J2降格という惨劇に見舞われた。オフは粛清の嵐が吹き荒れている。復活するためには流さなければならない血もある。だが解雇せざるを得ない場合においては、強化編成に携わる人間が選手本人に理由を伝えるのがサッカー界の筋。年俸だって紙切れ1枚による提示では寂しい(実際は誰から送られてきたか分からないようなメールだったらしい)。

 鹿島の鈴木満常務取締役強化部長と先月中旬、話す機会があった。先日のチャンピオンシップで7年ぶりの優勝。J創設後、唯一ブレない方針を持ち続けるクラブの現場編成トップは自身の経験を基に話してくれた。

 「そりゃ、選手に減俸提示とか契約満了を通達するのは誰だって嫌なもんだよ。選手も気分悪いだろうし。でも機械の部品じゃないんだから。人間同士なんだから」

 人間同士のかかわり合い。プロの世界でも、それは真理だろう。強化編成が刷新された某クラブは当初、解雇も年俸提示も新しく編成に携わった人間がやらなかった。編成権を持っていない人間に解雇通告をさせ、自らは嫌な仕事から逃げた。功労者に対してしかるべき場所を用意して話をするわけではなく、立ち話のようにクビを宣告することもあった。そこにねぎらいや誠意、人間味は存在するのか。そこが18冠の鹿島との明確な違いなのではないかと思う。

 11月30日。前日29日(日本時間)に起こったコロンビアでの飛行機事故で、世界中が悲しみに暮れた。Jクラブも「喪に服す」意味を込めて、クラブリリースなどは極力控えていた。その中で新戦力選手の獲得を発表したのは某クラブだけ。15年に発表したクラブモットーは「愛されたいクラブ宣言」。愛されるには心がいる。 (記者コラム・飯間 健)

続きを表示

2016年12月6日のニュース