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J最年少だ!久保 15歳5か月1日で“規格外デビュー”

[ 2016年11月6日 05:30 ]

明治安田生命J3第28節 ( 2016年11月5日    駒沢 )

<FC東京U23・長野>後半、左足アウトサイドで絶妙なスルーパスを出すFC東京U―23・久保(右)

 “和製メッシ”がついにJリーグデビューを飾った。バルセロナ下部組織出身のFC東京U―18のFW久保建英(15)が5日、U―23チームが参戦するJ3長野戦に後半開始から出場。3トップの右でプレーし、チームは1―2で敗れたもののスペイン仕込みの高い技術で詰めかけた7653人のファンを魅了した。15歳5カ月1日でのデビューはJリーグの最年少記録。日本サッカー界の期待を背負う天才レフティーが、まずはプロへの記念すべき第一歩をしるした。

 その瞬間は0―2の後半開始と同時に訪れた。盛大な拍手に迎えられ、背番号50の久保がJのピッチに立った。試合後「緊張した」と明かしたが、1分後のファーストタッチでは2人をひらりとかわす華麗なドリブルを披露。その後もボールに触るたびにスタンドを沸かせた。「順調だと思うけど、ちょっと早かった気もする」。まだ中学3年生の久保は注目を一身に集めたデビュー戦を振り返った。

 観客は今季J3の1試合平均2866人を大きく上回る7653人。さらにテレビカメラ15台に加え、集まった報道陣は実に75社183人と日本代表戦のような、規格外のデビュー戦となった。元日本代表MFの橋本を含めJ1経験者が5人いる長野相手に、最大の見せ場は後半33分。「パスをもらったときにゴール前だったので仕掛けようと決めていました」。左サイドで小川の縦パスを受けると迷わずドリブル。身長で11センチ、体重で13キロ上回る相手DF大島の体当たりをかわし、鮮やかなフェイントで抜くと、左足でマイナスクロス。得点にはつながらず、試合にも敗れたため「(自己採点は)15点ぐらい」と悔しがったが、「天才」と言われる一端は見せた。

 10歳で入団したスペインのバルセロナは、下部組織も各国の原石が集結する世界屈指の名門。クラブに18歳未満の選手登録に違反があったとして13歳で退団を強いられたが、FC東京U―23の中村監督は「バルセロナではこの年で上の世代の試合に出るのは難しい」と言う。日本では世代別の代表も含め、スペインでは難しい飛び級でのプレーが可能。「パススピードや展開が速くてあたふたしてしまう場面が多かった」と課題を口にした久保だが、今後もJ3に出場することでさらに成長していくに違いない。

 昨年4月の時点で1メートル63、52キロだったが、体重はこの1年半で約8キロも増えた。FC東京U―15むさし時代は、Sサイズのユニホームの裾をパンツに入れると背番号がパンツに隠れるほど小さかった。だが今では苦手だった魚も食べられるようになり、アンブロ社製のユニホームもMサイズに。この日も「体を大きくするのは課題なので引き続き頑張りたい」と話したが順調に成長している。

 「上にはさらに上がいて、どんどん追い越していけるように、っていう気持ちで毎日やっていきたいです」。19歳で迎える東京五輪での活躍も期待される“和製メッシ”のスター街道は、駒沢の地で幕を開けた。

 ◆久保建英(くぼ たけふさ)
 ☆生まれとサイズ 2001年(平13)6月4日、神奈川県川崎市生まれ。1メートル67、60キロ。利き足は左。
 ☆競技歴 10年4月に川崎Fの下部組織に加入。11年4月に9歳でバルセロナの入団テストに合格し、同年9月に下部組織入り。クラブへのFIFAの制裁により15年3月に退団。同年5月にFC東京U―15に入団し、今季はU―18に飛び級で昇格した。
 ☆バルセロナ 18歳となる19年7月に再加入することが内定。スペインのアディダス社と契約を結ぶなど、現地での注目度は今も高い。
 ☆好きな食べ物 昨年U―15代表のインドネシア遠征から帰国した時には「たこ焼きやラーメンを食べたい」と話すなど、日本食が好き。
 ☆性格 試合となれば年上の選手を呼び捨てにするなど、物おじしない明るい性格。スペイン語はペラペラ。
 ☆愛称 和製メッシ。バルセロナの下部組織に加入した年の11月の地元紙の特集記事では「得点感覚が鋭い日本のメッシ」と紹介された。
 ☆代表 U―16日本代表。9月のアジア選手権では4試合4得点の活躍で来年のU―17W杯出場切符獲得に貢献した。

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