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引き留める術なし…“爆買い”中国、金額だけじゃない移籍交渉術

[ 2016年7月15日 12:30 ]

C大阪から中国・長春亜泰へ移籍したブルーノ・メネゲウ

 あっという間に移籍話は進んでいった。今季からJ2C大阪に加わり、前半戦を終えてチーム得点王となる6得点を挙げていたのがブラジル人FWブルーノ・メネゲウ(29)。攻撃陣の主力となっていた中で、突如、中国1部・長春亜泰から完全移籍での獲得オファーが届いた。クラブに正式なレターが来てから今月8日に移籍が決定するまで、わずか1週間余り。クラブの強化部門にも携わる大熊清監督は「(進展は)早かったね」と明かした。

 Jリーグで活躍する外国人に対して、これまでにも中東のクラブが好条件で強奪する例が多かったものの、近年では“爆買い”を進める中国の存在も際立ってきている。資金力が豊富で、ブルーノ・メネゲウに対しても「想像もつかないオファー」(大熊監督)という破格の好待遇だったようだ。指揮官が本人と話し合い必死に慰留につとめたが、2度目の直接会談の際には、移籍に向けて気持ちが固まっていた。違約金等の条件を満たしていれば、クラブとしても止める術はなかった。

 決断が早かった理由として、中国側の交渉が挙げられる。「中国からのレターには“24時間以内に返答しないといけない”というのが多い」と大熊監督。選手側は好条件を提示される一方で、移籍するかしないか即決を迫られる。今年で29歳になったブルーノ・メネゲウは、動きのキレや瞬発力を武器とするアタッカーだけに、現役生活がどこまで続くかは分からない。いきなり舞い込んだ巨額のオファーを、断れないのも自然な流れだった。

 「こういう世界だからリスクヘッジはしているんだけど、それを超えるものもある」と大熊監督は難しさを語る。契約年数の長期化、高額の違約金設定など対処する方法は様々だが、力が及ばないことも多々ある。中国や中東のクラブが資金力でJクラブを大きく上回っているのが現状だけに、今後も同じような電撃移籍は起きそうだ。(西海 康平)

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2016年7月15日のニュース