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浦和、クラブハウス増築で“未来へ投資” サポへのサービスも検討

[ 2016年7月11日 11:00 ]

来年9月に完成予定のクラブハウス

 思わず“ビフォー・アフター”を想像してしまった。浦和が8日、さいたま市内の練習拠点「大原サッカー場」のクラブハウス増築を発表。現存のトレーニングルームと器具庫を解体。クラブハウスに併設するよう3階建ての別棟(555平方メートル)を建設する。今月13日から工事を開始し、来年9月に完成予定という。

 1階は最新の器具をそろえるトレーニングルームとなる。大原は「市街化調整区域」であり、10メートルの高さ制限がある。だが、地下を掘り下げることで、1階天井部は3メートルの高さが確保される。この工夫により人工芝を敷くスペースでサーキット・トレーニングが可能になるという。どんな天候でもアジリティー(敏しょう性)を磨くことができ、雨の中でもその人工芝の上でボールに触れることもできる。

 2階には選手ラウンジや仮眠室が用意される。全体練習後に戦術論を語りながらコーヒーだって飲めるし、極度の疲労や他の予定を待つ選手が高性能マットレスの上で布団を敷いてぐっすり眠れる。これまで選手が仮眠を取る場合は、マッサージルームで誰かが施術される横で目をつぶらなければならなかった。仕事疲れが多いメディア関係者はもちろん使用禁止とのことだが、仮眠室を歓迎する選手は意外にも多いはずだ。

 3階には選手から強い希望もあった食堂が入る。食事を取る場合は練習場から車で約5分かけてユース寮「吾亦紅(われもこう)」まで移動する必要があっただけに、手間が大幅に省ける。「サッカーに集中できる環境をつくってもらえる」と喜ぶ選手会長のMF宇賀神は「独身の選手が朝ご飯も食べられるようになれば」と希望を語った。クラブハウスで完結できることが増え、選手もコンディションを整えやすくなる。

 「そのお金を選手獲得に回せば…」。そんなタラレバもありそうだが、練習環境の充実はさらなる成長を目指す将来への投資だ。「トップクラブと言われるからには、いろんな面でそれを体現しないと。クラブの価値を上げたい」と山道強化本部長。新設のクラブハウスではシーズンチケットを購入したサポーターへの多様なサービスも検討するという。来秋から始まる浦和の新たな“日常”に期待したい。(記者コラム・大和 弘明)

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2016年7月11日のニュース