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なでしこ 粘り強さ戻った高倉初陣 米に3発で劇的ドロー

[ 2016年6月4日 05:30 ]

米国と引き分け、横山(左)、大儀見(右)ら選手をねぎらう高倉監督

米国遠征・国際親善試合 日本3―3米国

(6月3日 米コロラド州コマースシティー)
 高倉麻子新監督(48)率いるなでしこジャパンは2日(日本時間3日)、米国と親善試合を行い、3―3で引き分けた。前半14分にFW岩渕真奈(23=バイエルンM)が先制し、同22分にFW大儀見優季(28=フランクフルト)が加点。好スタートを切ったが、後半12分に大儀見が2枚目のイエローカードをもらい退場すると、同44分に2―3と逆転を許した。ところが、ロスタイムに途中出場のFW横山久美(22=長野)が劇的な同点弾を決めた。

 握手を交わした両監督の表情が、試合内容を如実に表していた。顔をほころばせた高倉監督に対し、米国・エリス監督は引きつっていた。後半ロスタイム。大儀見の退場により10人で戦う日本は、中央から細かいパスをつなぐ。最後は阪口のダイレクトパスを受けた横山が右足で劇的な同点弾だ。「なでしこジャパンはずっと粘り強く最後まで戦ってきた。そこは要求しました。失点した後も」と新指揮官は奮闘した選手たちを称えた。

 先制は前半14分だった。ペナルティーエリア手前右でパスを受けた岩渕が、ワンタッチで中央に切れ込み、左足で鮮やかなミドルシュート。8分後には、右サイドの中島が深い位置から上げたクロスを、大儀見が右足で合わせて2点目を奪った。後半ロスタイムの3点目も4人が絡むパス交換から生まれたもの。攻撃面は「あまり型にはめるつもりはない」と話していたが、初練習からわずか3日とは思えないほどのコンビネーションから、3つのゴールが生まれた。

 米国との差は大きく開いていたはずだった。昨年7月のW杯カナダ大会決勝では2―5の大差で敗れた。リオ五輪の優勝候補の米国に対し、日本は五輪の出場権も逃した。それでも選手に「一緒にチームを高めていこう」と呼び掛けた指揮官は、采配面でもチャレンジした。長く1トップに君臨していた大儀見を左の2列目に置き、初選出の千葉と佐々木を大胆に先発起用した。さらに代表経験があまりない横山を後半11分に投入したことが、値千金のゴールを呼び込んだ。

 「ミス絡みの失点が多かったので、勝てたかな」と悔しさをのぞかせた指揮官だが、かつてのなでしこをほうふつさせる最後まで粘り強く戦う姿勢には、手応えを感じている。5日(日本時間6日)には、クリーブランドで米国との第2戦に挑む。勝利への期待に膨らんだつぼみを、次こそ花開かせる。

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2016年6月4日のニュース