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村井チェアマン“追加の副審”AARをテスト中 ナビスコ杯で本格導入

[ 2016年5月31日 09:50 ]

村井チェアマン

村井チェアマンの直言

 AAR(アディショナル・アシスタント・レフェリー)という言葉を知っている方はかなりのサッカー通と言えるのではないだろうか。

 Jリーグでは今シーズンから試験的に通常の4人のレフェリーに加えて両サイドのゴールライン上に追加の副審であるAARを置く試合を設けたが、5月22日のJ3G大阪U―23VS相模原の試合で初めてAARが起用された。

 ゴール前の決定的な場面を主に見ることになるAARには高度な判断力が求められる。ペナルティーエリア内で起きた事象について、主審と瞬時にコミュニケーションを取りながら主審を補完することを要求される。

 この日の試合でAARを受け持ったレフェリーに直接話を聞く機会を持った。これまでフィールド上でゲームを追っていた人間にとって、ゴールライン上に立って見続けるサッカーはこれほどまでに異なる景色なのかと驚いたという。そして、自身が主審であった時を想像し、自分の視野の範囲から外れてしまう自身の背後のスペースを見てくれるという安心感は大きいだろうとの意見だった。そして、余談ではあるが90分間走り回る主審の時と違い、同じ位置に立ち続けることで、異質な疲れがどっと出たそうだ。

 そして、もう一つの効果として大きかったことは、プレーヤーがAARに見られているという意識が非常に高かったため、この試合では危険なシーンは発生することがなかったということだ。つまり、AAR導入による予防の効果も出ていたことになる。前出のレフェリーによると、選手たちもゴール前では、明らかにAARを意識していることを感じたという。

 選手たちの技術は日々向上し、プレースピードやパススピードは高速化の一途をたどっている。こうした進歩に対応したジャッジを行うには新たな視点が必要であることは明らかである。今シーズンはJ3リーグで数試合テストを重ねた後、ナビスコカップの準決勝、決勝やチャンピオンシップで本格的な導入を行う。ファン、サポーターにフェアな試合を見てもらうことはJリーグのチェアマンとしての責務であるから、その助けになることには積極的に取り組んでいきたい。(Jリーグチェアマン)

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2016年5月31日のニュース