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俊輔が口にしたサブ組への感謝 絶妙スルーパスに込められた想い

[ 2016年4月19日 09:00 ]

横浜のMF中村俊輔

 左足が放った1本のパスには熱い想いが込められていた。横浜が敵地に乗り込んだ16日の磐田戦。前半41分だった。司令塔のMF中村俊輔は中盤で3選手に囲まれながら巧みなタッチでキープし、前を向いた。次の瞬間、絶妙なスルーパスが相手DF陣の間を抜けた。図ったように抜け出たMF斎藤学がパスを受けると、一気に加速。勝利を決定付ける4点目を決めた。

 試合後、中村の口から出たのは感謝の言葉だった。「ジュビロの最終ラインが高いのは映像で見て分かっていた。練習でも“ジュビロ役”をやってくれる選手たちがストレスの溜まる中でやってくれた。そのおかげ。1点を返されて嫌な雰囲気になっていたし、あの点は大きかった」。

 横浜では試合前、先発組とサブ組に分かれ、試合をシミュレートした練習を実施する。サブ組は相手の陣形、特徴を仮想する。当然、ストレスや悔しい想いがあるはずだ。そんな想いを無駄にはしたくなかった。中村が前を向いた瞬間、斎藤も「オフサイドではない!と思って」すぐに動き出していた。パスの出し手、受け手が同じ絵を描いた。練習の成果だった。

 敵将の名波監督はかつて日本代表の10番を背負ったレフティー。その後「10番」を受け継いだ中村は「サッカーを良く知っている。リーダーでもある。日本代表のときも自然と名波さんの周りには人が集まって来た」と敬意を評していた。その磐田に5―1と快勝。サブ組への感謝を口にした中村はFK、CKを含め3得点に絡む大車輪の活躍だった。最近6戦は4勝2分けと負けなし。トリコロールが上昇気流に乗って来た。 (記者コラム・牧野 真治)

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