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5発全て香川から!鮮やか反転ボレーで自身も2発

[ 2016年3月30日 05:30 ]

<日本・シリア>後半、ゴールを決めガッツポーズする香川

W杯アジア2次予選E組 日本5―0シリア

(3月29日 埼玉)
 最終予選進出を決めていたE組首位の日本代表は5―0でシリアを圧倒。7勝1分けの無敗で1位通過を果たした。トップ下で先発したMF香川真司(27=ドルトムント)は後半21分に芸術的な左足ボレーを決めるなど2得点1アシストで、全5得点に絡む活躍。国際Aマッチ通算25得点とし、背番号10の大先輩、中村俊輔(横浜)を抜いて歴代8位に浮上した。

 胸トラップから流れるように体を反転させ、左足を振り抜いた。後半21分、香川がスーパーボレー弾を決めた。「うまく冷静に打てた。大事なのは結果だったので」。ゴールに背を向けたまま本田の浮かせたパスに反応。相手GKの位置は見えていた。振り向きざまのシュートはゴールに一直線に突き刺さった。

 まさに独壇場だった。先制点は前半17分、ショートCKを受けた香川が鋭いクロスでO・Gを誘発した。今季のドルトムントはCKからの全得点の半数以上がショートCKからという。「あれは自分の判断」と得意の形を代表に持ち込んだ。とどめは後半45分、この日2点目でシリアの息の根を止めた。誰も香川を止められなかった。

 一気に「10番」の歴史を塗り替えた。国際Aマッチ通算得点は25に伸びた。「代表の10番といえば俊さん(横浜・中村俊輔)のイメージ」。24点目で中村に並び、25点目で超えた。到達試合数でも所要93戦の中村に対し79戦目。「リスペクトする選手の記録を抜けたことは良かった。ただ岡ちゃん(岡崎)、圭佑君(本田)のように決め続けたい」。感慨も一瞬、すぐに前を向くのも香川らしかった。

 26日夜、選手ミーティングで思いの丈をぶつけ合った。移動バスでの携帯電話やゲームも禁止。ピッチ上での甘さも排除された。「連動性、距離感、前に行く姿勢。ここ数試合に比べて出せたと思う」。そんなピッチの中心にいたのが香川だった。後半41分に本田の得点をアシスト、同ロスタイムに原口のゴールの起点になり全5得点に絡んだ。アフガニスタン戦で4点に絡んだ清武を上回る活躍だった。

 17日に27歳となった。ドイツではサプライズ誕生会が開かれ、たこ焼きや寿司で祝福された。「サッカー選手としては良い年齢と言われる。それを自分の中で意識したい」。今後、自らの経験を伝える「SHINJI HOUSE」をオープン。4月からは子供向けのクリニック、家族向けのストレッチ講座、体幹講座などを動画配信する。期するものもあった。

 「結果を出せたことは評価したい。次も続けることが大事。常に結果が求められるポジション。最終予選も勝ち続けたい」。偉大な先人を超え、あらためてかみしめた10番の宿命。香川の背中がいつもより大きく見えた。

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