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村井チェアマン直言 U―23チーム J3で鍛え海外へ飛躍を

[ 2016年3月22日 10:15 ]

Jリーグ・村井満チェアマン

 13日、J1、J2両リーグに遅れること2週間、J3リーグが開幕した。J3の今シーズンの注目点はU―23チームの参戦(FC東京、G大阪、C大阪)である。

 FC東京U―23は、開幕をアウェーで迎えたが、対戦相手である相模原のホームスタジアムには、7280人という多くの入場者を集めた。FC東京からは2000人を超えるサポーターが相模原に駆けつけたという。これは集客が課題であるJ3クラブにとっては恵みの雨であり、メディア露出を含めてJ3の活性化にも一定の貢献を果たしている。J3でプレーする選手たちにとっても、若手中心のチームにそう簡単には負けるわけにはいかないという意地もあるので、よりアグレッシブなゲームが展開されることだろう。実際、この試合も相模原が1―0で勝利した。

 この日はリオ五輪最終予選で活躍した中島翔哉が出場して話題を集めたが、そのかたわらでユースチーム所属の4選手が出場機会を得た。代表経験者も多く選手層の厚いFC東京では、こうした機会がなければユース世代の選手がトップ世代での試合に出場することはかなり難しい。だが、Jリーグでは珍しいこうした光景も世界に目を向ければ、それほどまれなことではない。Jリーグ副理事長の原博実は、メッシが15歳にしてバルセロナCチームの一員としてドリブルで年上のプレーヤーたちを切り裂いていく姿を目撃している。そうした出場機会を経て彼は17歳でリーガの初舞台を踏み、翌年にはアルゼンチンA代表に選出されている。

 U―23チームの参戦を希望するクラブのチェアマンヒアリングの際、FC東京の立石GMは、育成型ビッグクラブを目指すためにこの参戦がいかに不可欠であるかを我々に力説した。将来性豊かな選手を発掘し、より良い環境整備をしても得られない真剣勝負の場こそ選手育成の最後のピースだと考えているからこその思いなのだろう。長友佑都も武藤嘉紀も21歳でクラブに加入し、23歳で海外に羽ばたいた。他のJクラブでも海外移籍の低年齢化は顕著だ。さらに、現在10代後半の選手は20年東京五輪の主軸となる年代である。彼らが順調に育つことがオリンピックでの男子サッカー金メダルへの近道になることは言うまでもない。

 海外移籍が当たり前となった今、移籍を防ぐというディフェンシブなものではなく、10代の選手を徹底的に鍛え、実戦経験を積ませ、トップチームの戦力として育て、海外へ飛躍する選手につくり上げる。よりオフェンシブな取り組みにトライしている3クラブの新たな挑戦にチェアマンとして注目している。

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2016年3月22日のニュース