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澤“夫婦ダービー”制し有終V王手「これだけは譲れなかった」

[ 2015年12月24日 05:30 ]

<INAC神戸・仙台>前半、ヘディングを見せるINAC神戸・澤(8)

 澤が夫婦ダービーを制して有終Vに王手をかけた。準決勝2試合が23日に行われ、今季限りでの現役引退を表明したMF澤穂希(37)が所属するINAC神戸は仙台に2―0で快勝。同選手は夫で仙台の運営・広報部長を務める辻上裕章氏(39)の眼前でフル出場を果たして完封勝ちに貢献した。ラストマッチとなる27日の決勝は、日テレをPK戦の末に下した新潟との対戦が決定。自らのゴールで優勝への扉を開く。

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 史上最強の妻がピッチに降臨した。自ら「夫婦ダービー」と銘打った準決勝、90分間のフル出場で勝利に貢献。試合後、相手チームのスタッフとして見守っていた夫とは握手をして「おめでとう」と声をかけられた。祝福を受けてから取材ゾーンに来た澤は、得 意げに勝利宣言をした。

 「妻の勝利です。夫婦のことで他は譲ってもこれだけは譲れなかったですから」

 貴重な先制点を“アシスト”した。前半39分の右CK、澤がニアサイドに走ってマークを引きつけ、ぽっかりあいた穴で高瀬がつないで大野がゴール。なでしこジャパンでも幾度となく窮地を救ってきた澤のニアを警戒する仙台DFを逆手に取るプレーで押し込まれていた流れも断ち切った。

 試合後、珍しく右足にアイシングをして現れた。「体もしんどくて息も上がって思うようなプレーができなかった」と正直に明かしたように、連日、注目されている中での中3日の試合は37歳の体に少なからず負担を及ぼしている。04年アテネ五輪のアジア予選で半月板損傷の大ケガをした右膝や、今年のW杯決勝で痛めた左膝など「体は傷だらけ。もう、あちこち痛い」と得た勲章の数だけ、代償も支払った。それでも「体を張ったり、泥くさいプレーはできた」と澤の根幹をなすプレーをやり続け、4試合連続完封勝利につなげた。

 泣いても笑ってもいよいよラストマッチ。「最後の最後に取っておいたかというぐらい(得点を)ためている。結婚してからも取っていないしね」と“ミセス初ゴール”で優勝を飾るイメージはできている。6歳からサッカーを始め、12歳でリーグデビュー、15歳で代表のユニホームを着た。サッカーとともに歩んできた長い道も、最終コーナーにさしかかった。

 「寂しいね。ちょっと寂しいけど、自分で決めたことだし笑顔で終わりたい。トロフィーを掲げていることをイメージしたい」

 試合後にはレスリング女子の吉田沙保里との食事会。親友はこの日、全日本選手権で一足早く優勝した。自身も27日の決勝で最後の舞台を優勝で飾る。笑顔のゴールに向かい、あと90分、澤穂希がピッチを駆ける。

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