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ベンゼマが代表追放処分…ユーロ地元Vへ暗雲漂うフランス

[ 2015年12月15日 09:10 ]

フランスから無期限代表活動停止処分が下ったレアル・マドリードのベンゼマ(AP)

 地元開催の16年欧州選手権で優勝を狙うフランス代表がエース抜きの戦いを強いられそうだ。フランス協会は10日にレアル・マドリードのFWカリム・ベンゼマ(27)の無期限代表活動停止処分を発表。同国代表MFマテュー・バルビュエナ(31=リヨン)を「セックステープ」で恐喝した事件に関与した疑いで起訴されており、裁判が終わるまで招集しない方針を示した。ベンゼマは事件に巻き込まれた可能性が高いが、本大会出場の見通しは厳しい。

【欧州選手権】

 パリで12日に開かれた欧州選手権1次リーグの組み合わせ抽選会。地元フランスはルーマニア、アルバニア、スイスとA組に入り、組み合わせに恵まれた。英ウィリアムヒル社の優勝オッズは3.75倍。W杯王者ドイツ(4.33倍)や3連覇を狙うスペイン(6.5倍)を抑えて1番人気となっており、00年以来4大会ぶり、史上最多に並ぶ3度目の優勝の期待がかけられている。

 だが、9~11月の親善試合でも5勝1敗と好調だったチームに、ベンゼマが影を落とした。性行為の写っている映像を基にバルビュエナが恐喝された事件に関与した疑いで、11月4日にパリ郊外で逮捕。バルビュエナの携帯電話のデータを入手して恐喝を始めた首謀者グループから友人を通じて接触され、10月の代表合宿中に金を支払うよう勧めたという。ベンゼマは「俺の友人が解決するから紹介する、と言っただけ」と善意のアドバイスだと主張しているが、バルビュエナは仏紙ルモンドのインタビューで「金を要求されているように感じた」と明かした。

 バルビュエナの発言を受け、フランスのバルス首相は「模範になれない選手は代表に選ばれるべきではない」とベンゼマを批判。政敵のサルコジ元大統領が「我々は代表監督じゃない」と反論する事態に発展した。スター選手のベンゼマが恐喝に手を貸す理由はなく、無実との推測が広がっているが、もともと未成年との淫行や無免許運転などトラブルメーカーで有名。強盗罪で事件直前まで服役し、首謀者グループとの“仲介役”となった友人との電話が警察に記録され、「あいつ(バルビュエナ)は俺が説得する」と語ったという報道も印象を悪くした。

 世論調査でもベンゼマの代表入りに反対する意見が圧倒的に多く、フランス協会は「無期限代表活動禁止」を決定。ベンゼマを攻撃の軸に据えてきた代表のデシャン監督も「倫理的に見て決定は理にかなっている」と従う意向を示した。欧州選手権開幕の来年6月10日までに裁判が終わる見込みは低く、欠場が濃厚。ジルー(アーセナル)やマルシアル(マンチェスターU)らが代役候補だが、得点だけではなくチャンスメークやアシストでも貢献する“世界最高のセンターフォワードの一人”を欠く影響は計り知れない。

 ◆カリム・ベンゼマ 1987年12月19日、フランス・リヨン生まれの27歳。両親はアルジェリア人で、同国とフランスの二重国籍。05年にリヨンでトップチームデビューし、07~08年にフランスリーグ得点王。09年にRマドリードへ移籍して13~14年の欧州CL制覇などに貢献した。フランス代表は14年W杯ブラジル大会出場など81試合27得点。フランス最優秀選手に11、12、14年と3度選ばれた。1メートル87、79キロ。利き足は右。

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2015年12月15日のニュース