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3年連続得点王の大久保 川崎F移籍で“開花”したワケ

[ 2015年11月24日 11:30 ]

3年連続得点王のボードを掲げる川崎FのFW大久保

 川崎Fの大久保が3年連続の得点王を獲得した。初めて得点王になった13年、韓国Kリーグでデヤン・ダミヤノビッチ(FCソウル)が3年連続得点王になったことを聞き、「凄いな」と思ったという。それが、気がつけば自身も3年連続で得点王。Jリーグでは初、日本リーグ時代にも釜本邦茂(ヤンマー)が74~76年に達成しただけで、まちがいなく偉業だ。

 30歳を過ぎてこれほど変わった選手は珍しい。大久保はよく「1点取るのも難しい」と言っているが、神戸に在籍していた12年は主に中盤としてプレーしたこともあって1年間でわずか4点。川崎Fに移籍してストライカーの才能が開花した。技術的に進化したのはもちろん、川崎Fの“攻め方”がぴったり合った。神戸時代は中盤の大久保が自分で動いてスペースを空けなければ、味方からパスは出てこなかった。川崎Fでは大久保が一番前にいる。それだけでもパスは集まるが、大久保が空けたスペースに、後方から中村や小林ら味方がどんどん飛び出してくるので、相手もどうマークするか考える。そうなると大久保がよりフリーになる。「俺が下がるとマークが付いてくるから、そこからミドルシュートを打つこともできるし、いい循環ができる。サッカーは深い」。こう言う通り、大久保にパスが集まり、持ち味が生かせる攻め方だ。もちろん相手に動きを研究されるので「ウラをかくのも楽しい」と、頭脳戦でも負けてはいない。

 大久保流の調整法も独特。食事に気を使うアスリートは多いが、大久保は「食べたいものを食べる」と、自然体を貫く。ケガも多いが、ケガとの付き合い方もうまい。右足首の古傷のほか、いつもどこか痛めているが、「骨折しない限り試合に出る。もったいないでしょ」と言う。

 11月22日の仙台戦では後半35分に得点した直後の後半40分に警告を受けた。実はこれがJ1、J2通算100枚目。大久保のもう一つの勲章だ。こういう選手がいないとJリーグは楽しくない。来年もきっと話題を提供してくれるはずだ。(大西 純一)

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2015年11月24日のニュース