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「湘南のCロナ」永木 FK名手を代表の“飛び道具”に

[ 2015年10月9日 18:10 ]

湘南のMF永木亮太

 「なぜ、湘南の永木の名前が入っていないんだっ!」

 ハリルホジッチ監督はリストを見た途端、激怒したという。7月末、都内のJFAハウス内で日本代表スタッフ会議が行われた。8月の東アジア杯(中国)に向けたメンバー選考の過程で各スタッフが推薦リストを持ち寄った。指揮官は湘南のMF永木亮太(27)の名は当然、入っていると考えていた。

 永木と言えば攻守にハードワークをいとわないボランチで湘南の“心臓部”と言っていい。そしてもう1つ、63歳の老将を振り向かせたのが「黄金の右」だった。5月23日の湘南―清水戦(4―0)。ハリルホジッチ監督が視察する目の前で30メートル級のロングFKを決めた。速い助走から一気に右足を強振。ボールは3人の壁を超え、縦に回転しながらゴールに消えた。そのFK動画は一気に世界を駆け巡り、米国のファンサイトでも「まるでC・ロナウドだ」と話題になった。

 永木のFKは繊細な感覚が生命線だ。「前のプレーでのキックの感覚を試合の中で感じながらやってます」。FKで蹴るのは止まっているボールだが、いつも同じ蹴り方ではない。大事にしているのはその日の感覚。9月26日、横浜戦(1―1)でも30メートル級のFK弾を決めた。助走は清水戦に比べるとややゆったり。的確に捉えたボールは4人の壁を越えた。

 ハリルホジッチ監督は口癖のように「現代サッカーでは得点の35%はFKから。なのにわれわれの得点はゼロだ」と言い、表情を曇らせる。ならばスタッフを怒るだけでなくFKの名手を代表に呼んでみてはどうか、FKからの得点力不足を嘆くだけでなく優秀な“跳び道具”を手元に置いてみてはどうか――。W杯予選などアジア勢との戦いでは相手が徹底して守備を固めてくるケースがほとんど。黄金に輝く永木の右足はきっと大きな武器になるはずだ。

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2015年10月9日のニュース