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VW問題 独サッカー界にも衝撃“サッカー大好き会長”辞任の影響は

[ 2015年9月25日 09:10 ]

辞任したフォルクスワーゲンのウィンターコルン会長=今年3月撮影(AP)

 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が米国で排ガス規制を不正に逃れていた問題は、地元サッカー界にも影響を大きな及ぼす可能性が出てきた。VWはブンデスリーガで昨季2位の強豪ボルフスブルクの親会社。日本代表のMF長谷部誠(31=フランクフルト)が08~13年にプレーしていたこともあり、緑のユニホームと胸のVWマークは日本人ファンにもなじみ深い。

 また12年からドイツ杯のスポンサーを務めるほか、グループ会社のアウディはリーグ3連覇中の名門バイエルン・ミュンヘン、今季1部に初昇格したインゴルシュタットの株主となっており、米スポーツ専門局ESPN(電子版)は24日に「VWは近年のドイツサッカーで最も大きなスポンサーの1つであり、そのスキャンダルは大きな衝撃を与える可能性がある」と伝えた。

 サッカーへの投資を拡大してきたのが、今回の問題の責任を取って23日に辞意を表明したVWのウィンターコルン会長だ。07年に就任した同会長は地元で大のサッカー好きとして有名で、23日のドイツ紙ディーベルトは「ボルフスブルクが強くなったのは会長のおかげ」と指摘。高額移籍金でドイツ代表MFシュールレ、ベルギー代表MFデブルイネ(現マンチェスターC)ら大物を獲得できたのも会長の支援があったからで、地元メディアによるとVWからボルフスブルクへの年間支出額は少なくとも8000万ユーロ(約108億円)にも及ぶという。

 サッカーへの巨額投資に対する批判の声もある。その急先鋒だったのが、VW創業者一族のピエヒ前会長。地元紙ビルトによると、ボルフスブルクへの支出を年間3000万ユーロ(約40億円)に抑えるよう主張していたが、今年4月に現会長との権力闘争の末に辞任に追い込まれた。ウィンターコルン会長は6月、ビルト紙に「ミュンヘン、ゲルゼンキルヘン、ブレーメンなどサッカーを支援している地域で売上が伸びている」と自身の正当性を主張していたが、次のトップ(未定)が“サッカー大好き会長”の方針を引き継ぐかは不透明だ。(大久保 尚文)

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