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ゴン中山、47歳現役復帰へ練習参加 熱さ健在、周囲を叱咤

[ 2015年9月6日 05:30 ]

軽快な動きを見せる中山氏

 3年ぶりの現役復帰へ、ゴンが走りだした。元日本代表FWで、12年限りで現役を引退した中山雅史氏(47)が5日、JFLアスルクラロ沼津の練習に参加。パス回しやミニゲームに加え、自主的にシュート練習を行うなど約1時間半、精力的に汗を流した。今後は現役復帰を視野に10年に手術した両膝の状態を見ながら、リーグの選手登録期限となる16日に向けて準備を進めていく。

 23日で48歳になる中山氏が、新人に見えた。練習は午前8時40分スタートだったが、8時前には沼津市内の練習場に到着。専属トレーナー2人による入念なストレッチを終え、練習前の円陣に加わると「足手まといにならないよう、精いっぱい頑張ります」と大声であいさつした。

 関係者が「プロでも苦しむ」と指摘する人工芝でも、質の高いパスとトラップを披露。ミニゲームでは「声を出していこう!」と周囲を叱咤する熱さは健在だ。フルメニュー消化後も自主的にシュート練習に加わったレジェンドは「やっぱりサッカーっていいな」と汗を拭った。

 うそではなかった。12年12月の引退会見では最後まで「引退」の言葉は口にせず「リハビリを続けて進化すれば復帰したい。まだ未練たらたらです」と選手としてのこだわりを見せた。あれから2年9カ月。「その言葉の証明が、きょう(5日)につながるかもしれない。やれることをやり尽くしたい」と力を込めた。

 引退表明後は解説者やタレントとして活躍する一方で、専属トレーナーと契約するなど現役復帰に向けた準備を進めてきた。「いつかはピッチに立ちたい」――。磐田時代の恩師で、沼津の会長を務める山本昌邦氏(57)に声を掛けられ、練習参加にこぎ着けた。

 現在チームは4部に相当するJFL5位。早期のJ3昇格へ、実績十分のストライカーが加入すれば追い風になる。練習を視察した山本氏は「体の状態もいいしサポートしたい。選手登録までたどり着ければ」と前向きに話し、週明けにも獲得に向けて各方面の調整や交渉を進める。

 今後は10年に手術した両膝の様子を見ながら練習に参加する予定。「自分は“諦める”ためにやっている。これは“明らかに極める”ということ。その先はその先で何が待っているのか、その時に考えたい」と中山氏。奇跡の復活へ、カウントダウンは始まった。

 ▼アスルクラロ沼津・吉田謙監督 トレーニングプランを細かく教えなくても分かる。さすがベテラン。中山さんの情熱を、若い選手は学んでほしい。

 ▽アスルクラロ沼津 静岡県沼津市を拠点に活動する総合スポーツクラブ。サッカーのトップチームは77年に沼津アーセナルとしてスタート。06年に現在のアスルクラロ沼津に改称した。13年に東海社会人リーグ1部昇格。同年11月にJ3ライセンスを取得した。14年からJFLに参戦し、初年度は8位。所属選手は元J3鳥取のDF尾崎瑛一郎(30)ら27人。アスルクラロとはスペイン語で「明るい青」。

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