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本田“オレ2世”育てる!オーストリア3部ホルンを子供の夢の受け皿へ

[ 2015年7月9日 06:20 ]

ホルンの練習試合を観戦後、写真撮影に応じる本田(左から2人目)

 日本代表MF本田圭佑(29=ACミラン)が7日、実質的な経営権を持つオーストリア3部ホルンのトライアウト最終選考を視察し、8日に会見を開いた。最終目標にオーストリア1部制覇を掲げたが、当面は堅守速攻の戦術を採用し、選手を育てビッグクラブへ人材を輩出するビジョンを明かした。名古屋からVVVフェンロ(オランダ)などを経てビッグクラブの選手に成り上がった自身のような“本田2世”をつくり上げていく。

 新たなフィールドに足を踏み入れた本田の顔はやや紅潮していた。会見場に現れた“新オーナー”はクラブ理念について熱く語り出した。

 「このチームのテーマはネバー・ギブアップ。その言葉を全選手、スタッフが、ピッチ内外で証明していくことが理念であると思います。5年後に“よくここまで成長した”と。国外からも注目されるクラブになりたいと思っています」

 最終目標にオーストリア1部での優勝を掲げた。イタリアでプレーしながら現場と連携を密に取り、段階を経ながら実現していく考えだ。そして、もう一つの夢がある。

 「日本で50のサッカースクールを経営しています。その2000人を超える子供たちに、いつも大きな夢を持ってほしいと言っている。その夢の対象になればいいなと」

 自身のメソッドを注入した日本の子供たちが、実質オーナーを務めるホルンでプレーする。そんな未来図を頭に描く。

 「自分の子供のようなもの」というクラブ。その“愛息”の踏み出すべき一歩目も見えている。まずは戦術。

 「長期的に見た時に(戦術の)選択肢は広がると思うんですけど、短期的に見れば、シンプルに攻める方が効率よくゴールに迫っていける。多くのチャンスをクリエートできる。どちらかというと堅守速攻型になると感じています」

 遠い理想を追いかけながらも、当面は現実路線を進む。その上で選手を育成し、ビッグクラブへの移籍をサポートする。

 「ホルンでプレーする世界中の選手がビッグクラブに行こうとする中で、その方(堅守速攻)が需要があると思っています。チームが強くなるのはもちろんですけど、彼らのステップアップにつながると考えています」

 もちろんホルンをビッグクラブにすることも目標だが、まずは自身がACミランにたどり着くまでに在籍したVVVフェンロやCSKAモスクワのような成り上がりの土台となるクラブにすることに力を注ぐ。日本代表のエースが自ら“本田2世”の道筋を切り開いていく。

 ▽SVホルン 1922年、オーストリア・ニーダーエスターライヒ州ホルン郡に創設。11~12年シーズンに3部優勝して2部に昇格したが、昨季は10チーム中9位で再び3部に戻った。1部経験はない。現在はクリストフ・ベスターターラー氏が指揮を執り、女子サッカーにも力を入れている。今年6月、本田圭佑の所属する「HONDA ESTILO株式会社」の経営参入が決定。オーストリアでは一定数のオーストリア国籍選手を先発に入れればメンバーの半数以上をEU圏外選手とすることも可能で他の欧州に比べて日本人などEU圏外の選手を獲得しやすい環境にある。

 ◆オーストリアリーグ 1911年創設で、欧州ではイングランド、スコットランドに次いで3番目に古い歴史を持つ。完全プロの1部(ブンデスリーガ)と2部(エアステリーガ)は各10チームで構成され1部はリーグ2連覇中でMF南野がプレーするザルツブルクや32回の優勝を誇る名門ラピド・ウィーンなどが所属。3部(レギオナルリーガ)は東・中・西の3地区に分かれ、各16チーム。今季はホルンが所属する東地区1位が2部へ自動昇格し、中地区と西地区の1位で昇格決定戦を行う。アマも含めると国内には9部まである。

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