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澤から“2冠継承”だ!宮間 W杯連覇でのMVP獲りへ決意

[ 2015年7月4日 05:30 ]

バンクーバーに到着し、澤(左)と談笑しながらバスへ向かう宮間

 W杯カナダ大会で連覇に王手をかけたなでしこジャパンは2日(日本時間3日)、5日(同6日)に米国との決勝の行われるバンクーバーに空路で到着した。FIFAが同日、今大会のMVPにあたる「ゴールデンボール賞」の候補8人を発表し、MF宮間あや(30=岡山湯郷)とDF有吉佐織(27=日テレ)が選出。MF澤穂希(36=INAC神戸)から主将を引き継いだ宮間は連覇の2冠を達成し、名実ともにレジェンドの後継者となる決意だ。

【女子W杯決勝T なでしこジャパンメンバー】

 澤から宮間へ。日本女子サッカー界のバトンをつなぐ舞台が整った。なでしこの主将がFIFAが発表した「ゴールデンボール賞」候補に名を連ねた。11年ドイツ大会では当時主将の澤が優勝、得点女王と合わせて3冠を成し遂げたが、キャプテンマークを引き継いだ宮間に2大会連続で最高の勲章を受けるチャンスが訪れた。連覇を成し遂げれば、絶対的司令塔の受賞は確実だ。

 宮間は日本女子サッカーの過去、そして未来を背負って戦っている。「正直、W杯優勝してから注目をしてもらっていたが、徐々に(ファンの)数も減っている。ここでもう一つ結果を残すことで文化として確立したい」との決意を示していた。4年前、東日本大震災で沈む日本に勇気を与えたなでしこは国民栄誉賞を受賞。“フィーバー”としてもてはやされたが、人気にもかげりが見える。先人たちの苦労を知る澤がW杯優勝を成し遂げて、なでしこの灯をともし続けた。6度目のW杯となるレジェンドは「最後」の舞台と決めている。だからこそ、その思いをつなぐと決めている。

 今大会フルタイム出場中の主将の活躍は、目を見張るものがある。左MFからチャンスを演出し、ボランチ、逆サイドにまでポジションを変え、攻守にタクトを振る。両足から放たれる高精度のプレースキック。そして、仲間が得たPKを2度決め、チームで唯一の2得点を挙げている。連覇まであと1勝。MVPの最有力候補であることは間違いないが、その先を見据えている。「連覇という記録もそうだが、ただ終わったという大会には絶対にしたくない。記憶に残るような大会にしたい。下の世代で頑張っている子が胸を張って女子サッカーを続けられるようにしたい。私たちの文化は先輩が後輩のためにするということ」。

 澤が代表を離れた1年間、互いの自宅を行き来し、ともに食事をしてはなでしこの未来を語り合った。宮間が見せる一つ一つのプレーには、先輩たちの思いも込められている。

 この日、なでしこはエドモントンからチャーター機で決戦の地バンクーバーに到着した。移動日のため取材対応はなかったが、決戦の地に降り立った宮間は澤と2人で談笑しながらバスに乗り込んだ。準決勝後、「決勝に全てを注いで優勝して、またスタート地点に立てる」とさらに先を見据えていた。レジェンドから後継者へ。宮間がW杯を掲げる時、なでしこの新たな歴史が始まりを告げる。

 ≪W杯カナダ大会MVP候補≫
 MF宮間あや(日本)、DF有吉佐織(日本)、MFロイド(米国)、MFラピノー(米国)、DFジョンストン(米国)、DFブロンズ(イングランド)、FWシャシッチ(ドイツ)、MFアンリ(フランス)

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2015年7月4日のニュース