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【J1注目株】仙台・多々良 松田さんの闘争心受け継ぐ守備職人

[ 2015年2月23日 08:25 ]

新天地・仙台での活躍に意気込む多々良

 昨季14位の仙台は、新陳代謝を図って上位をうかがう。静かに定位置を狙うのが松本から完全移籍したDF多々良敦斗(27)だ。献身的なハードワークと1対1の強さに加え、高精度のロングフィードも持つセンターバック。「新たな挑戦」を求めた守備職人は「一日一日を大切にしている」と気を引き締める。

 日本代表DF内田(シャルケ)は清水東(静岡)時代の同級生。2人とも名前は「アツト」だが、歩む道は対照的だ。内田が鹿島で3連覇を達成する一方で、多々良は静岡産業大に進学。総理大臣杯準優勝など好成績を残したが、Jクラブからのオファーはゼロ。進路が決まらないまま迎えた最高学年の12月中旬、大学の指導者から日時と場所が記された紙切れを渡された。それが運命を変えた関東の大学生を対象にした非公開のセレクション。知り合いは誰もいない中、黙々とアピールして当時JFLの松本入団にこぎ着けると、J1昇格まで突っ走った松本を下支えした。今季はチームこそ変わるが、自身初のJ1の挑戦権。内田をウサギに例えるなら、多々良は亀のように着実に歩を進めている。

 「今の自分があるのは、多くの出会いがあったから」。その一人が間違いなく、故松田直樹さんだ。11年に松田さんが松本に加入。亡くなるまでの数カ月、多々良の1列前のボランチとして体を張り続けた偉大な先輩の背中が忘れられない。「ピッチ内外で“サッカー選手はこういうものだ”と教えてもらった。影響を受けた」。センターバックとして不可欠な闘争心が植え付けられた。

 「全てが良い経験になっている」と話す多々良。堅実な守備の要が、仙台に新風を吹かせてくれそうだ。

 ◆多々良 敦斗(たたら・あつと)1987年(昭62)6月23日、静岡市生まれの27歳。小1でサッカーを始め、キューズFC、清水東、静産大を経て10年から松本に所属。JFL通算49試合1得点、J2通算110試合5得点。JFL時代の11年には天皇杯3回戦で新潟を下すヘディング弾を決め、天皇杯の番狂わせを象徴する得点者に贈られる「SURUGA I DREAM Award」を受賞。背番号33。1メートル80、72キロ。血液型A。

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2015年2月23日のニュース