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遅きに失した解任劇…W杯予選4カ月前でゼロからの再出発

[ 2015年2月4日 05:30 ]

アギーレ監督との契約解除を報告する大仁会長(右)と三好法務委員長

日本代表 アギーレ監督を解任

 代表監督が八百長関与の疑いで捜査を受けるという異常事態の中で下された決断。無数のフラッシュを浴びながら日本協会の大仁会長が重い口を開いた。東京都文京区のJFAハウスで午後5時から行われた緊急会見。法務委員長の三好弁護士とともに壇上に座り「2月2日の夜遅くに検察の告発が受理されたという事実が確認されました。W杯予選に影響が出るリスクを排除する必要があるということで、アギーレ監督との契約を解除する結論に至りました」と厳しい表情を浮かべた。

 2日深夜にアギーレ監督の代理人を務める弁護士との定時連絡で告発受理を確認した。大仁会長はこの日の午前9時から田嶋副会長、原専務理事ら幹部を集めた緊急会議を開催。解任の方針を説明すると、異論は出なかったという。午後2時にアギーレ監督に契約解除を申し入れ、本人も「やむを得ない。分かりました」と了承。スペイン各紙では1月14日に告発受理の報道があったが、三好弁護士は「受理されたのは1月30日。報道は事実ではなかったと認識している」と指摘した。

 解任に踏み切る最後の機会だった。スペイン司法で八百長が扱われるのは初めてで、起訴か不起訴かの確定までに要する期間は予測できない。決断を先送りすれば、6月にスタートする18年W杯アジア予選に問題を引きずることは必至。大仁会長は「指導者としての手腕は高く評価していた。(解約の)条件面は合意している。守秘義務があるので内容を申し上げることはできないが、違約金はない」と説明した。

 8月11日の就任会見から在任わずか177日での解任は、Jリーグが発足した93年以降では94年に約8カ月で退いたファルカン監督を抜く最短記録。そのうちスペインでの最初の報道から131日は疑惑にさらされていた。W杯予選中の解任という最悪のシナリオは免れたが、12月に告発された時点で決断する選択肢もあっただけに判断が遅れた感は否めない。告発受理が決め手だったが、受理が遅れていれば、決断先送りのダメージがさらに大きくなった可能性は否定できない。指揮官とともに招へいしたゲリング・コーチ、モラス・フィジカルコーチ、リカルドGKコーチも解任する方針。既に後任候補の人選に着手しているが、W杯予選が4カ月後に迫る中、ゼロからの再出発を余儀なくされる。昨夏のW杯ブラジル大会、1月のアジア杯と国際舞台で低迷続きの日本にとって前代未聞の監督交代劇の打撃は計り知れない。

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