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C大阪、J2降格を斬る(1)最後までなじまなかった「超大物助っ人」

[ 2014年12月1日 12:37 ]

降格が決まった鹿島戦で、出場がなかったフォルランはスーツ姿のまま引き揚げる

 「史上最攻」をスローガンに掲げたC大阪の20周年イヤーは、最悪の形で幕を下ろした。誰も予想できなかったクラブ史上3度目のJ2降格。低迷の原因は何だったのか。主に元ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルラン(35)の功罪、強化体制の崩壊に焦点を絞り、3回の連載で裏側に迫る。

 ピッチの上で、異様な怒号が飛び交っていた。「ディエゴ、走れよ!」。Jリーグ中断期間中の11月10日、城陽市内で行われた関西ステップアップリーグ京都戦。後半開始から出場したフォルランに、チームメートのDFから強烈な言葉が浴びせられた。これに反応しないフォルランは、一方で仲間のパスがわずかでもズレるとボールを受けようとせず、両手を振り上げて怒りをぶちまけるばかり。タイトルへの切り札として獲得した超大物は、最後までチームになじむことはなかった。

 推定年俸6億円。昨今にない活気をJリーグにもたらした「W杯MVPプレーヤーのC大阪移籍」は、皮肉にもチームのバランスを大きく崩した。今季ここまで26試合出場7得点。前節の仙台戦からはベンチ外になるなど、ピッチの上では期待外れに終わった。

 実は、岡野雅夫社長(61)が代理人を通じてフォルランとかわした契約には欠点があった。助っ人との契約に多く見られるゴール給やアシスト給といったような出来高が含まれていない事実。得点を量産しても、ベンチを温めても給料は変わらない。モチベーションに少なからず影響していたことは確かだ。

 関係者によれば、フォルランが日本人選手と食事に出かけるなどピッチ外で交流を深めることはなく、若手選手らとの距離は最後まで埋まらなかった。W杯ブラジル大会後には、早々にチームへ合流した柿谷や山口とは対照的に、母国で2週間の完全休養。契約書に盛り込まれた条項通りの行動だった。左太腿裏痛や左内転筋痛などで調子が上がらず、10月には地元ウルグアイのメディアに不調の原因を問われ「W杯から帰ってきてすぐにプレーしなければならなかったから」と釈明。2週間の休養を過ごしており、言い訳のような発言にチームメートの不信感は高まった。

 ピッチでも全盛期からほど遠いプレーに終始。力なく孤立する姿を見て、頻繁に試合へと足を運ぶパートナーカンパニーであるヤンマーの幹部は「フォルラン」ならぬ「フォルニャン」と呼んだ。悲しいあだ名で嘲笑される事態を、開幕前に誰が想像できただろう。その35歳ストライカーの獲得に尽力したのが、岡野社長。ビッグディールに成功したクラブトップこそ、低迷を招いた張本人だった。

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2014年12月1日のニュース