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山形J1昇格王手!GK山岸 古巣・浦和戦“参考”に劇的ヘッド

[ 2014年12月1日 05:30 ]

<磐田―山形>試合終了間際、決勝ゴールを決め喜ぶ山形・GK山岸(中央)

 J1昇格プレーオフ準決勝が30日、ヤマハスタジアムで行われ、山形(J2・6位)が磐田(J2・4位)に2―1で競り勝った。後半ロスタイムにGK山岸範宏(36)が右CKを頭で合わせて決勝弾。GKの得点はJ史上7人目でヘディングでは初の快挙となった。7日に味スタで開催される千葉(J2・3位)との決勝に進出。GK弾による奇跡的勝利で、4季ぶりのJ1復帰に向けて勢いに乗った。

【試合結果 J1昇格プレーオフ決勝】

 ボールがネットに吸い込まれると、山岸はうつぶせになり吠えた。1―1で突入した後半ロスタイム、CKのチャンス。引き分けなら敗退が決まる崖っ縁の状況で、自陣ゴールを空けて相手ペナルティーエリア内まで駆け上がった。石川のキックに反応したのはただ一人緑色のユニホームの男だ。ニアサイドに走り込み左側頭部で捉えると、ボールは放物線を描きファーサイドに収まった。

 GKによる得点はJ公式戦で7度目。ヘディングでは初の快挙となり「ニアサイドでボールをそらせば何かが起きると思った。ゴールは狙っていない。走って喜んだら格好いいんだろうけど、うつぶせになってしまった。人生初のことで慣れていないので」と笑った。小学生の頃に練習試合でFW起用されて以来のゴールで、公式戦では初。アシストした石川も「ビックリして笑っちゃいました」とあ然とした。

 ひそかに準備していた。11月23日のリーグ最終節・東京V戦前日。プレーオフ進出に勝利が必要となる状況を想定し、CKを頭で合わせる練習を取り入れていた。GKコーチのキックをフリーの状態で合わせたが、一度もネットを揺らせず「ヘッドって難しいな」と痛感。それでも試合前日の鳥栖―浦和戦で、終了間際に鳥栖GK林がCKでゴール前に上がり得点が生まれた場面をテレビ観戦し、得点が必要な場面での攻撃参加を決断していた。出場機会を求めて13年半在籍した浦和を離れ、6月にJ2山形にレンタル移籍。古巣の試合から得た教訓が奇跡的ゴールにつながった。

 本職でも好セーブを連発。16本のシュートを浴びながら最少失点に抑えた。千葉との決勝に勝利することが4季ぶりJ1の条件となる。山岸は「まだ何も手にしていない。喜ぶのはきょうだけ」と気を引き締め「僕が上がらなくても良い展開で勝ちたい」と真顔で言った。チームの勝利を最優先に考えた結果生まれた日本サッカー史に残るアンビリーバブルな得点。奇跡のドラマはJ1昇格で完結させる。

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