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宇佐美 独占手記「ドイツでは0点。ガンバで結果残したかった」

[ 2014年11月9日 09:00 ]

後半、ドリブルするG大阪・宇佐美(左)を水本(右)が手でとめにいく

ナビスコ杯決勝 G大阪3―2広島

(11月8日 埼玉)
 G大阪が2点のビハインドをはね返して広島に3―2で逆転勝ち。ナビスコ杯で7年ぶり2度目の優勝を飾った。エースFW宇佐美貴史(22)は、FWパトリック(27)の同点弾をアシスト。J1復帰初年度での優勝をベンチで見届けるとうれし涙があふれ出た。それほどまでに今季に懸けていた思いを、スポニチ本紙に激白した。

 タイトルが獲得できて正直ホッとしています。優勝の瞬間はドイツでの苦しかったこととかを思い出し、涙をこらえることができませんでした。

 約1年半前。ガンバ復帰にあたり一つの覚悟を決めていました。「活躍できなかったら、結果を残せなかったら、サッカーをやめる」。そんなふうに言うと「そんな簡単にやめるのか?」と言う人もいるかもしれません。大げさに感じた人もいるでしょう。でもそのくらいドイツでの2年間で何も残せなかった自分を自覚してましたからね。「ここしか戻る場所がない」という決意で戻って、何も残せないようならサッカーをやる資格はないと。そんな情けない自分に、他ならぬ僕自身が我慢できなくなるだろうと予測できたからこそ、そう決めていました。

 もちろん、そんな決意を話す僕に周りはいろんな言葉をかけてくれました。「ドイツでの2年間は無駄じゃない」「戻ってきた貴史を見ればドイツで何を得たか分かる」「まだ21歳。サッカー人生はこれからだ」

 どれも間違いではないと思います。だけど僕にとってはきれいごと。勝負の世界は結果が全てで結果が出せれば100点で出せなければ0点。ずっとそう思ってサッカーに向き合ってきたからこそドイツでの自分は0点だったと思っていたし、いろんな意味でボロボロでした。

 だけど、結果的にその覚悟が僕に点を取らせてくれた。もう一度、はい上がるチャンスをくれたガンバにできる恩返しは何かを考えた時に、勝つこと、そのために「僕が点を取るしかない」と思えたことが、昨年のJ2での19ゴールにつながったと思っています。ただ、本当の意味で僕がガンバの力になるのは、今年、J1の舞台と思っていました。期待が大きくなるのは分かっていましたがプレッシャーは大好物ですから。

 もう一度ガンバが圧倒的な強さを示していた08年前後のような、国内外でタイトルを手にする時代を取り戻す、自分が取り戻させてみせるとも思っていました。この感動を何度でも味わうために今季、可能性を残すリーグ戦や天皇杯も全力で獲りにいきます。引き続き応援を、よろしくお願いします!

 ◆宇佐美 貴史(うさみ・たかし)1992年(平4)5月6日生まれ、京都府長岡京市出身の22歳。高2時にG大阪ユースからトップに昇格し、同年プロデビュー。11年からドイツ1部のバイエルンM、ホッフェンハイ  ムでプレー。昨夏、J2だったG大阪に復帰し、18試合で19得点を挙げた。今季ナビスコ杯5得点、リーグ8得点を記録。1メートル78、69キロ。利き足は右。

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