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「まるでリベロ」守護神ノイアー 規格外の守備で8強けん引

[ 2014年7月2日 05:30 ]

<ドイツ・アルジェリア>果敢に前に出てクリアするノイアー(右)=AP=

W杯決勝トーナメント1回戦 ドイツ2―1アルジェリア

(6月30日 ポルトアレグレ)
 守護神マヌエル・ノイアー(28=バイエルンM)が驚異的なプレーを見せた。ドイツは延長戦の末にアルジェリアに2―1で勝利。16大会連続8強入りを決め、同国が持つ連続記録を更新した。GKノイアーが再三ペナルティーエリアを飛び出して相手のカウンターを阻止。「リベロ」を思わせる守備でけん引した。ドイツは4日(日本時間5日)の準々決勝でフランスと対戦する。

 ノイアーが規格外の守りでドイツを救った。120分間で5度もペナルティーエリアを飛び出してピンチの芽を摘んだ。

 開始9分、縦パスを追い掛けるスリマニと並走。DF顔負けのスライディングで足元に飛び込んでクリアした。前半28分、前半40分にも裏に抜けてきたボールを処理。後半26分にはスリマニを狙ったロングパスをヘディングではじき飛ばし、後半44分にもロングボールがフェグリに渡る寸前に右足で蹴り出した。

 「スタイルを変えたつもりはない。代表でもバイエルンでも積極的に飛び出すようにしている。雨で芝が濡れていたから球足の伸びを警戒したのは事実だが」。ノイアーは平然と言うが、その凄さはデータが示す。

 走行距離5・517キロ、スプリント回数7回。相手GKムボリは3・464キロ、1回。いずれもノイアーが大きく上回り守備範囲の広さ、積極性は歴然。レーブ監督は「危険なロングボールの処理が素晴らしかった。まるでリベロ。大助かりだった」と絶賛した。

 フィールドプレーヤー並みの足技を持つ元オランダ代表ファンデルサルに憧れ、キックの精度には定評がある。この日はペナルティーエリア外でパス回しに参加した場面が3回。後半6分にはシュールレの飛び出しに合わせピンポイントのパスを送った。「GK兼スイーパー」がいるからこそDFラインを押し上げ攻撃に力を注げる。

 ゲルゼンキルヘン生まれで地元クラブ、シャルケ下部組織で育った。日本代表DF内田はシャルケ時代の同僚。11年3月、東日本大震災直後の試合で内田は被災者へのメッセージを書いたシャツを用意し、勝った場合だけ見せると決めていた。ノイアーは試合前「俺が守るから絶対勝てる」と盟友を励まし言葉通り2―1で勝ってみせた。1メートル93のドイツ人は優しい心の持ち主でもある。

 2大会3位の大国にとって8強は通過点。延長後半に失点したが、「90分間は無失点だから問題ない」と頂点を目指す守護神の自信は揺るがない。74年のマイヤー、82、86年のシューマッハ、90年のイルクナー、02年のカーン。ドイツが決勝まで勝ち上がる時には必ず名GKがいた。ノイアーにもその資格があるはずだ。

 ≪実は分が悪かった延長戦≫ドイツが延長戦勝利で54年大会から16大会連続ベスト8(西ドイツ時代を含む。78年は2次リーグ敗退=8強)。ドイツのW杯延長戦は過去9度あり、通算1勝5分け(PK勝ち4)3敗だった。PK戦は4戦4勝と無類の強さを誇るが、延長戦決着で勝利したのは意外なことに70年準々決勝(□3―2イングランド)以来、2勝目だ。

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2014年7月2日のニュース