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なぜ…動きが鈍い日本代表 フィジカルのコンディションに問題?

[ 2014年6月20日 16:09 ]

ギリシャと引き分け、下を向いて引き揚げる本田、岡崎ら(AP)

 追い詰められた者同士の戦いとは、こういうものか。敗北を恐れ、互いに腰の引けた戦いに終始した感が強い。

 確かに、日本は狙いどおりに球を支配することができた。ポゼッションの率は実に68%だ。ギリシャが退場者を出したことで、球の支配力に拍車がかかった。

 しかし、それだけだ。守備ブロックの外側で、用心深くつなぐばかり。肝心のゴール前に球が入らず、枠内シュートはわずか11本に終わった。

 ギリシャは8人が後退して守りに回っている。最前線に残るのは1人だけ。この状況においてもなお、日本は最終ラインに人がだぶついていた。

 守備者を1人ベンチに下げ、攻撃のカードを切る手立てはなかったか。ボランチの1枚が積極的にエリア内へ侵入していく選択肢はなかったか。せっかくの数的優位を生かせないままだった。

 監督にも、選手たちにも、リスクを冒す勇気が足りなかった。ギリシャのプレスが甘く、中盤で楽につなげる展開だったからこそ、余計に悔いが残るはずだ。

 それにしても、日本の動きがあそこまで鈍いのは、なぜなのか。リスクを恐れるメンタルのコンディションだけの問題ではあるまい。

 敵陣に人数はそろっていても、足は止まったまま。3人目の動きどころか、パスを引き出す受け手(2人目)の動きすら少なかった。

 フィジカルのコンディションにも問題があったのではないか。そう思わざるを得ないほど、個々の動きは重かった。

 パス交換の呼吸も合わず、命綱のコンビネーションも最後まで空回り。それならば、ドリブルを仕掛ける手もあったはずだが、大久保嘉人以外に独力突破を試みる勇者も見当たらなかった。

 終盤、吉田麻也を前線に上げるパワープレーや3枚目のカードを使わない交代策に筋目は通るのか。次々と浮かび上がる疑問符が消えない。

 狂った歯車を元に戻すことの難しさを思い知らされる。心身のコンディションを整い損ねれば、勝利が遠のくのも必定。やはり「準備の失敗」と言わざるを得ない。(元週刊サッカーマガジン編集長・北條聡)

 ◆北條 聡(ほうじょう・さとし)1968年8月29日、栃木県生まれ。大学卒業後、93年にベースボールマガジン社に入社し、週刊サッカーマガジン編集部に配属される。日本代表担当、ワールドサッカーマガジン編集長を歴任し、W杯や欧州CLなどを取材。09~13年に週刊サッカーマガジン編集長を務めた。13年10月に退社し独立。現在はフリーとして活躍。

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2014年6月20日のニュース